失敗を恐れて挑戦できない、「どうせ自分なんて...」と卑下する。我が子のそんな姿を見て、ついイライラ。「だからできないんでしょ」という言葉が喉元まで出かかるのをぐっとこらえる。「自己肯定感」を身につけさせるためには、否定してはいけない、叱るより褒めなくてはと頭ではわかっていても、どう褒めたらいいのかよくわからない。
齋藤孝さんの著書、『子どもの自己肯定感が高まる ほめ方・叱り方の新常識100』(宝島社)はそんな、迷える親たちに、ただ「否定するな、ほめよ」と説くだけではない、具体的な「ほめ方・叱り方」のコツを紹介している。齊藤さんは、明治大学文学部の教授で、『声に出して読みたい日本語』(草思社)などの著書で知られる。
ちまたには、自己肯定感をあげる方法についての本がたくさん出版されている。しかし、自己肯定感は高ければいいということではないと齋藤さんは言う。
自信がありすぎて大胆な行動に走りがちな人のなかには、得てして物事を冷静に、客観視することが苦手な人も少なくないからです。そういう人たちばかりが集まった集団が、高い自己評価と強い自信で突き進むのは、これはこれで非常に危険なことなのです。
自己肯定感が低い人の中には、慎重であったり客観視できるなどのよい特性をもっている人も多い。慎重すぎて自己否定に走るのはよくないが、慎重であるということを自己否定することはない。
ただ、慎重すぎて先に進めないという人はどうすればいいのだろうか。齋藤先生は「自分には何ができるのか」ではなく、「何がしたいのか」を常に考える習慣をつけることが先決だと言う。
孔子は「知・好・楽」という言葉を残しました。これは、何事をやるにしても、知っているだけの人より好きである人が、さらに好きなだけの人より楽しむ人が勝っているという意味です。
何事も楽しんでやるという思考習慣を身につけておきたい。
子どもの将来が心配になり、ついネガティブな言葉が出てしまうこともあるだろう。例えば「このままでは、どうしようもない」や「先が思いやられる」など。こうした言葉を使ってしまうと、子どもに劣等コンプレックスをつくらせてしまうという。
劣等コンプレックスとは、劣等感をこじらせてしまうことだ。「劣等感を持つなとは言えないが、こじらせないようにすることはできる」と齋藤さん。その方法は、普段から親が「大丈夫だよ」と声をかけてあげることだという。そして、子どもが失敗したときは、「負けたことの意味」を考えさせることが大切だとのこと。
時間を意識して話す練習をしておくことも大切だと齊藤さんは説く。大人になるとプレゼンの機会があって時間制限が設けられていることが多い。一方で、現状の日本の教育現場では、「子どもに心理的なプレッシャーを与える」という理由で時間制限を設けることに否定的な声が少なくないようだ。
しかし、時間制限がない状態では、「実際には何も考えていない」ことが多いという。時間を決めて集中して時間感覚を身につけておくと、大人になってから役に立つだろう。
そのためには、鑑賞した映画などの感想を、15秒など時間を決めて話すことも、「自己修正能力」を鍛えるのに効果的だ。子どもは喋るときに「えーと」とか「うーんと」など意味のない声を挟むことが多いが、時間を意識することでこれらの言葉が時間ロスの原因だと分かり減ってくる。
本書には他にも「薄い問題集をやり遂げて達成感を覚えることが大事」や「名分の暗記と音読が子どもの成長にとって大事な理由」など子どもの自己肯定感を高めるためのコツが書かれている。子どもを持つ親だけでなく、自己肯定感の低い自分を育て直したい人にもおすすめだ。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?