スヌーピーとゆかいな仲間たちを描いたピーナッツコミック。1950年、チャールズ・M・シュルツさんが初めて世に送り出したこの作品は、子どもたちが「できない」「困った」という悩みや葛藤をどう乗り越えるのかをテーマとしている。かわいらしいキャラクターに目を奪われがちだが、実は名言が多く、時に哲学的だ。キャラクターは大好きだけれど、子どものころは4コマ漫画を読んでもよく意味がわからず「ちっとも笑えなかった」という人も多いのでは?
本書、『心をととのえるスヌーピー 悩みが消えていく禅の言葉』(光文社)は、そんなピーナッツキャラクターたちのことばを集めた名言集だ。
これまでピーナッツコミックの日本語訳を担当してきたのは、詩人の谷川俊太郎さん。本書の翻訳も谷川さんの手による。禅を感じさせる絶妙な訳は、父である谷川徹三氏が禅に通じる茶道を研究した哲学者だった影響があったのかもしれない。
監修は、現役の禅僧にして、庭園デザイナー、大学教授としても活躍している枡野俊明さんが務めている。
禅の教えには、「即今 当処 自己(今ここを精一杯生きよう)」「無心(自分のいる場所で自然体の自分で生きる)」「八風吹不動(人生にどのような風が吹こうとも動じない)」など不安定な現代を生き抜くのに必要な考え方が含まれている。
「主人公」(主人公)という言葉も、実は禅にまつわる語だ。「他の誰でもない、徹底的に自分らしいことをしなさい」「いついかなるときも本来の自己でいる」といった意味が込められている。そして、ピーナッツコミックに登場するキャラクターの台詞にも、禅と重なる部分が多々見られるという。モノクロの世界観や余白で受け手に解釈をゆだねるコミックの形式も、「禅の心」に通じる部分がある、という指摘も、なるほどと納得できる。
「勢不可使尽」(いきおいつかいつくすべからず)は、ノリノリのときにこそ状況を慎重に見て行動せよという法演禅師の禅語。マンガのウッドストックの様子にピッタリの言葉だ。
大人になった今こそ、読み返すと新しい発見がある。禅の世界に通じているピーナッツの世界を、あらたな視点で味わってみたい。チャーリー・ブラウンやスヌーピーたちと一緒に悩みながらも、心をととのえることができるかもしれない。
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