FIREという言葉を聞いたことがあるだろうか。経済的独立を達成し、定年を待つのではなく早期リタイアを目指す行動のことを指す。労働に縛られることのない生き方にはあこがれるが、会社員には難しそうにも感じる。
2021年7月16日、『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売された。7月9日には、電子版もリリースされている。
人生100年時代と言われて久しい。寿命の延びに加え、2021年4月には高年齢者雇用安定法が改正されて70歳まで定年を延長することが可能となった。60歳で退職して年金をもらいながら余生を過ごす生き方は過去のものとなりつつある。
それに、年金制度への不安や老後の2000万円問題など、お金の悩みは新たに増え続ける。
本書では、そんな社会の変化を踏まえた上で、「FIRE=早期リタイア」のテクニックを紹介している。FIRE(ファイア:Financial Independence, Retire Early)とは、経済的独立の獲得による早期リタイアを目指すムーブメントのことを指す。十分なお金を貯金し、それを投資などで運用することによって収入を得て、「早期リタイア」を目指す方法が一般的だ。
アメリカで流行していたFIREだが、最近では日本でも注目されている。本書では、日本のファイナンシャルプランナーが普通の会社員でも実行可能な日本の社会と制度に合わせた方法を提案していく。
さらに、投資や株ばかりではなく転職や副業・節約など、会社員でも実現しやすい方法が紹介されているので、現実味がある。
毎日、株価や為替レートをウォッチし、何度も注文を出す必要はありません。むしろ仕事やプライベートの充実を後回しにせず、しかし年4%程度の運用利回りを簡単に獲得することを紹介します。(「はじめに」より)
FIREを実現するためには、「年収をもっと増やす」「ムダな支出を減らす」「できるだけ高利回りで増やす」ことが基本となる。本書はこの3つの「合わせ技」について、「普通の会社員」でも実現できるノウハウをていねいに解説している。
本書の目次は以下の通り。
【目次】
第1章 FIREのキホン
第2章 もっと、もっと、もっと、稼ぐ
第3章 1円でも貯蓄額を増やすために節約する
第4章 貯めたお金をできるだけたくさん増やす
第5章 FIREのために絶対必要な知識
第6章 FIREを実行する3つのパターン
第7章 FIREに成功したあとのメンテナンス術
第1章では、日本版FIREと米国版との違いなど、FIREそのものに関する基礎氏知識を、第2章では、FIREに欠かせない「年収アップ」の方法を紹介。続く第3章では、家計の10%を削ってみる、家計簿アプリの活用で家計を見える化するなど節約術を、第4章では年何%稼ぐとFIREに早くたどりつけるか、「『安全・確実・高利回り』のセットには絶対手を出すな」、「普通の人はインデックスの長期積み立て投資で十分」などより具体的な対策を指南している。
さらに、第5章では、「家の確保をどうするか」、「子どもを育てるとFIREが遠ざかるか」、「民間保険はどこまで削っていいのか」など、FIREのために絶対に必要な「その他の知識」を整理。そして、第6章の「FIREを実行する3つのパターン」では、「ルートA」プチFIREを目指す、「ルートB」50歳代でのFIREを目指す、「ルートC」夢の40歳代FIREに挑む、の3つのルートが紹介されている。
FIREを目指すということは、ライフプランニングとリタイアメントプランそのものです。自分の人生を通じた経済的安定を確保する取り組みだからです。(中略)今こそ「日本版FIRE」を考えるときがやってきたのです。
会社員として生活していれば安泰という時代は過ぎつつある。人生100年時代をどう生きていくのか。FIREを考えている人は、本書で基本知識を身につけるのも良さそうだ。
■山崎俊輔さんプロフィール
1972年生まれ。フィナンシャル・ウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。1995年中央大学法学部法律学科卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立。わかりやすく読みやすいお金のコラムが人気で、Yahoo!ニュース、日本経済新聞電子版、マネー現代、プレジデントオンラインなど、月20本以上の連載を抱える人気FPのひとり。仕事や家事育児の効率化をつねに模索するライフハック好き。著書に『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP)、『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)、『マネーハック大全』(フォレスト出版)など多数。
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