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東村アキコ話題作! お金・才能を語る『稲荷神社のキツネさん』

 東村アキコさん作画・町田真知子さん原作の『稲荷神社のキツネさん』(光文社)が異色のビジネスマンガとして話題を呼んでいる。6月に放送された「あさイチ」(NHK)に東村アキコさんが出演し、本書が大きく取り上げられたことから売り上げが倍増。電子版との累計は66,000部を突破したという(2020年7月時点)。

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写真は『稲荷神社のキツネさん』(光文社)の表紙。

 タイトルからは一体どんなストーリーなのか想像しづらいが、本書は「実在の人物の経験をもとに、東村アキコが描き下ろしで挑む爆笑『起業』ファンタジー」であり、「お金」と「才能」がテーマになっている。

お金のはなしをする白狐

 主人公・井上正助は34歳。旅行代理店に勤めるフツーのサラリーマン。学生の頃から旅行とグルメ食べ歩きが好きでこの職に就いた。しかし、やりたいことはやらせてもらえず、安月給でこき使われる毎日。ちなみに正助の祖父は、やり手の実業家だった。ある日、憂さ晴らしの旅行で訪れた京都の稲荷神社で、一匹の不思議な白狐と出会う。

 「ボクはこの稲荷神社のお使いの白狐! 亡くなったキミのお爺さんにくっついてたキツネだよ。キミはお爺さんと違ってぜんっぜんお金儲けができてないね。とにもかくにもキミはまずお金のことを知らなすぎる。だからボクがこれからキミにお金のはなしをしてあげる」
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写真は、正助の前に突如出現した白狐。

「才能」は「お金」に換えられる

 百円を投げ入れて「お金持ちになれますように...」とお祈りする正助。それに対し、「ちょっと待った! あーあ...全くなってないな」と呆れる白狐。お金を稼ぐにはどうしたらいいのか? 才能とはなにか? それらを正助に教え込むため、白狐による"シゴキ"がはじまる。仕事、お金、将来に悩んでいた正助の人生は、どう様変わりするのか――。

 「才能ってのは...ズバリ、『頑張らなくてもできること!』」
 「頑張らなくても余裕で楽勝でできること!! それが才能!!」
 「そして『才能』は『お金』に換えられる」
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写真は、才能とはなにかを説く白狐。

願いは「宣言完了形」で

 本書は第一話から第四話の構成。また、「キツネの教え」その一からその八も収録。その中から「その二 参拝の作法」を紹介しよう。

 まず、お賽銭について。もちろん「お気持ちで結構!」とした上で、「自分の願いが叶えられると思う額」にする、「お稲荷さんや自分を信頼してお願いする心」を持つ、この二つが大事という。

 次に、お祈りの流れについて。「1 祈りの前に自己紹介」「2 神恩感謝」「3 祈り」「4 感謝」となる。祈りは「神に対しての宣言」であることから、「宣言完了形」で願うことが重要という。つまり、「なりたいです」ではなく「なります」とする。

 ある程度年齢を重ねると、「お金持ちになりたい!」「自分の才能ってなんだ?」と思ってもなかなか口にしづらい......。本書はそこにフォーカスし、真正面から描いている。いまさらお金持ちなんて、才能なんて......とあきらめてしまう前に、いまの仕事、収入、将来にモヤモヤしているなら本書を読んでみてほしい。自分の本音と向き合い、正助のように大きく舵を切るきっかけになるかもしれない。

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写真は、重版を記念して東村アキコさんが描き下ろした白狐。

■東村アキコさんプロフィール

 2007年連載を開始した『ママはテンパリスト』(集英社)が100万部超となり、若い女性を中心に支持を集める。ファッションをテーマにした『海月姫』(講談社)で2010年講談社漫画賞受賞。自身の半生を描いた『かくかくしかじか』(集英社)で第8回マンガ大賞、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。19年『東京タラレバ娘』(講談社)で漫画界のアカデミー賞といわれる米国アイズナー賞で最優秀アジア作品賞に選ばれる。『海月姫』、『東京タラレバ娘』、『偽装不倫』(文藝春秋)、『美食探偵 明智五郎』(集英社)はテレビドラマ化された。

■町田真知子さんプロフィール

 神託コンサルタント。ご神託に基づいたアドバイスを実践すると、ビジネスが上向きになりお金の巡りもよくなると評判を呼び、企業経営者など多くの顧客を持つ。著書に『地底人に怒られたい』(ヴォイス)。神社専門誌「WAGO─和合─」(太陽出版)で「神々の意を伺う」を連載中。


※画像提供:光文社

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