2011年に新刊JPで「自分で本を出してみたいと思う?」というアンケートをユーザー向けに行ったところ、51%の人が「出してみたい」と答えました。また、「テーマがあれば考える」という答えの12%と、6割以上の人が「本を出版する」ということに興味があるという結果が出たのです。
そして、実際のところ、自分の書きたいテーマがあれば誰もが本を出せる世の中になっています。
『本を出したい人の教科書』(講談社/刊)は出版プロデューサーとして出版界に30年貢献し、1600冊の商業出版を成功させてきた吉田浩さんが、本を出したい人向けに“どのようにすれば本が出せるか”“どう書けば本が売れるか”を指南する一冊。本書を読めば、出版するためのルートが分かります。
ただ気をつけるべきは、単純に「本を書こう!」と思って本は書けないということ。ここでは、本書から出版を考えたときに胸に刻んでおきたい3つのことを紹介します。
■本を出すのには“お金”がかかる
これは自分でお金を払って本を出版する「自費出版」のこと言っているのではありません。特にエッセイ系の本にいえることなのですが、「高い授業料」を払わないと読者が納得してくれるアウトプットを出しにくいということです。
例えばダイエットをテーマに本を出そうとしたとき、「○○法で私は痩せました」だけでは説得力があまりありません。ダイエットの研究からはじめ、他のダイエットと何が違うのかを調べるために、自分で試す必要があるかもしれません。
「エッセイというのは、コラム1本1万円稼ぐために、100万円の授業料を払うということ」と吉田さんは言います。膨大なインプットがなければ売れる本を作ることはできないのです。
■売れない本は“犯罪”と考えるべし
いい本とは何でしょうか。内容が素晴らしい、感動できる、とても役に立つ…などあげればキリがありませんが、もしも、絶対的な指標をつくるとすれば、やはり「売れたかどうか」です。吉田さんは、リンダパブリッシャーズの社長である新保勝則さんの「いい本とは売れる本のこと。売れない本は犯罪です」という言葉を引用しています。
ただし、全ての売れない本が「よくない本」ではありません。たとえば「読者は少ないけれど、出版する意義がある本」はそれに当てはまります。認定患者が少ない難病の研究書は爆発的に売れはしないものの、その情報を必要としている人に届けばいいのです。どんなに市場が小さくても「使命を持っている本」というのは価値があります。
■出版社で選ばずに編集者で選べ
本を出すならば、やっぱり大手の出版社から出したいですよね。でも、吉田さんは出版社で選ぶのではなく、編集者で選ぶことが大事だと述べます。そして、編集者が著者の作品を心から愛しているかどうかが重要であり、編集者の「熱意」「理解」「販促」で、初めて本を出す上でのパートナーを判断せよとアドバイスしています。
本づくりの最中、良い作品を出したいという想いから著者と編集者がぶつかることがあるはず。でも、そのバトルは必要なものですから、お互い納得するまでとことん編集者とぶつかってみてください。
実は本書の著者である吉田さん、読書に疎い人でも知っているようなベストセラーを手掛けています。例えば動物占いブームを牽引した『動物キャラナビ』(弦本将裕/著、日本文芸社/刊)や堀江貴文さんの『判決前夜 堀江貴文の日本バージョンアップ論』(バジリコ/刊)なども吉田さんが手がけた本です。
本を出したい人だけでなく、売れる本を書きたいと思っている人にとっても重要な知識が詰まった一冊です。
(新刊JP編集部)
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