新入社員が入社してはや一か月。
社会人生活のリズムが徐々にわかってくると同時に、これからどのように自分の力を伸ばしていけばいいかわからないという不安もあるはずです。
そんな時は、どんな業界でも必要で、なおかつもっとも価値の高い能力を磨く訓練をしてみるといいかもしれません。
『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』(大嶋祥誉/著、ソフトバンク クリエイティブ/刊)は、世界最高峰のコンサルティング・ファームの新人研修を「例に」、ビジネスで最も必要とされる「問題解決能力」を高める方法を指南する一冊です。
今回は、本書の中からビジネスでの問題解決力を高めるトレーニングをいくつか紹介します。
■「So what?(だから何?)」の視点を持つ
テレビや新聞、ネットなどで、私たちは様々なニュースに触れます。これを「ふーん、こんなことがあったのか」で済ませてしまうのはもったいないです。
そのニュースを「So what?(だから何?)」という視点で、自分や、自分の仕事、クライアントにどんな意味があるかを考える習慣をつけると、ビジネスでの問題解決能力を養うトレーニングとして有効です。
ただ、注意しなければならないのは「コインの裏表」で考えないことです。
「Aという商品の売り上げが落ちている」というニュースを見て、「じゃあ、販促を増やせばいい」と考えるのが「コインの裏表」の発想です。これでは、考えたことになりません。
「Aという商品の売り上げが落ちた」のであれば、「そもそもAという商品の市場での役割が薄くなっているのではないか」「そうだとしたらAにかける資金を別のものに使ったほうが将来的にはいいのかもしれない」「では、別のものとはどんなものがいいのだろうか」とどんどん考えを掘り進めていくことで、ビジネスの現場で本当に使える問題解決力が身についていくことになります。
■「事実」と「意見」を分ける
人と話している時に、相手の話していることを「事実」と「意見」に分解してみるのも、問題解決力を鍛えるトレーニングになります。
たとえば、相手が「うちの会社の会議はつまらなくて、時間も長い」と話していたとします。これは、相手の主観であり、「意見」です。
さらに話を聞いて、なぜそんな感想を持つのかを探っていくと、「議事の説明に時間が費やされすぎて、想像的な提案や意見が出ない」と相手が言ったとすると、これこそが「事実」であり、本当の問題だと気づくことができます。本当の問題が分かれば、あとは対処するだけです。
このように、相手の発言内容を「事実」と「意見」に分けることで、本当の問題を探り出す力が身についていきます。
■「願望」を「問い」に換える
問題解決能力を高めるには、仕事以外の時間でも常に何かを考えている必要があります。しかし、考えるには何らかの「問い」を設定しなければなりません。この問いはどのように作ればいいのでしょうか。
本書では、「○○がしたい」「○○が欲しい」といった願望を問いに変換することを勧めています。
「タブレットPCがほしい」という願望があるとしたら、「タブレットPCを買うべきか?」という問いを働かせて様々な角度から思考、検証を重ねることで客観的な判断や思考がしやすくなります。
今回紹介した例は、本書で取り上げられている内容のほんの一部です。
「入社1年目」と銘打ってはいますが、「問題解決力」はどの世代でも必須。
より質の高い仕事を目指している方や、物事の本質を見抜く目を持ちたい人は、本書を読んで「マッキンゼー流」にトレーニングしてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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