この春の異動や昇進によって、チームのマネジメントをしなければいけない立場になり、戸惑いを覚えている人も少なからずいるはずだ。
部下とどのように接すればいいのか分からない、彼らが何を考えているのか分からない。そんな上司は、自分の経験をもとにして部下を育成しようとすることが多いが、もちろん時代が違うのだから育て方も違う。
ここでは、行動科学マネジメントの専門家である石田淳氏が執筆した『育てる技術』(日経BP/刊)の中から、よくやってしまいがちな部下の残念な教え方をピックアップし、3つ紹介する。
(1)失敗の原因を考えさせる
何度も同じミスを繰り返す部下にいらついてしまったとき、よく口に出してしまいがちなのが「それくらいわかるだろ!」というセリフ。しかし、そういうときはちゃんと作業を一工程ずつ洗い出し、ちゃんと教える必要があると石田氏は指摘する。
どんな仕事でも「これくらいは言わなくても考えればわかるだろう」と思うようなことがあるものだが、それはただの思い込み。もし、部下が同じミスを繰り返しているなら、もう一度最初から説明してみて欲しい。
(2)やる気に期待する
仕事では「ハイッ!わかりました!」と威勢の良い声をあげ、飲み会でも率先して動き、とても気が利く。そんな部下には、もしうっかりミスを毎日のようにしていても、期待をかけたくなるはずだ。
ところが、その部下はただの調子の良い奴で、裏では仕事をサボっていたということが分かった。本人に改めるよう指摘すると、態度は急変してしまった...。ということもある。そんなときは、相手が自分の望む行動をとれば褒めて、望まない行動をすれば修正をしてもらう、ということを徹底する。つまり、態度や性格にフォーカスして期待をするのではなく、行動をベースに評価をするのである。
(3)いきなり大きな仕事を任せる
若手の有望株には英才教育を積ませたいもの。社内の大きなプロジェクトのチームリーダーに抜擢させたいと考えることも多いはずだ。しかし、これは一昔前までなら効果的だったのかも知れないが、今ではあまり通用しないと石田氏は言う。
現代の若者の多くは、失敗を許さないような風潮の社会で育ってきたところがあり、トラブルへの耐性も弱くなっていると石田氏。周囲への気遣いはできるが、自分がトップでどんどん決めて指示を出していくというタイプではないのだ。
だから、まずは小さな成功体験をたくさん経験させて、少しずつ仕事の規模を大きくする。その繰り返しが現代の若者の指導方法といえる。
この残念な教え方は、他に4つあり、「上司として厳しく接する」「仕事以外の話をしない」「ゴールを見せない」「部下に判断をゆだねる」といったものがあげられている。
一生懸命指導をしているのになかなか部下が成長しないというのは、どこかに原因がある。そのときに大事にすべきなのが、相性や性格という部分に理由を求めずに、部下がしっかりと「行動」できているかどうかを分析することだ。「行動」が出来ていないならば、それを修正する。石田氏の方法はとてもシンプルだが、とても奥が深い。
部下育成に悩んでいる人にとって、助けになる部分があるはずだ。
(新刊JP編集部)
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