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「江戸のベストセラー」清丸恵三郎著

  • 書名 江戸のベストセラー
  • 監修・編集・著者名清丸恵三郎
  • 出版社名洋泉社
  • 定価1600円+税
  • ISBN9784800312556

江戸時代といえば、昭和、大正、明治とさかのぼり、さらにその前だ。士農工商の差別があり、武士はちょんまげを結い腰に刀を差していた。本書を読むと、そうした時代の出版物が現代の物と酷似していることがよく分かり、驚き以外にない。武家名鑑である『武鑑』は『会社四季報』とそっくりだし、西鶴や近松の作品も、今日で言えば特ダネを追う「文春砲」並みのスピードで書き上げられたそうだ。 
 健康読本、生活実用書、遊郭風俗ガイド、江戸や京都のタウンガイド、算数の指南書から、翻訳医学書『解体新書』まで、印刷や製本の仕方こそ違え、現代の書店に並ぶ商品と確かにウリふたつだ。役者絵や美人画はタレントの写真集といったところか。 
 400年間、日本人の読者の志向はこれほどまでに変わらなかったのかと思うと、まさに驚きだ。と同時に、この江戸期の書物から現代のヒットの秘密も探り出せるかもしれない。

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