「半島へ」数多久遠著

 　北朝鮮関連記事がヘッドラインを欠かす日がなく、暴発も秒読みといわれる今日を、元幹部自衛官の著者が、リアルにとらえた冒険小説が刊行された。　
　「自衛隊が北朝鮮で、極秘作戦を展開中？」。陸自隊員の種痘接種事故を端緒に、毎朝新聞社会部記者の桐生琴音が、特殊作戦群の一部隊、通称"山岳連隊"の動きを追ってつかんだ特ダネだった。最高指導者の求心力が低下した北朝鮮に内部崩壊が迫る中、政府は日米安保に基づき、自衛隊の総力を挙げてミサイルを発射前に撃破するノドンハント、および拉致被害者の多地点同時救出を計画。さらに米軍の強い要請を受け、北朝鮮が極秘開発した天然痘ウイルスによる生物兵器を奪取すべく、室賀三佐率いる"山岳連隊"を、研究施設のある半島東北部魔天嶺山脈に潜入させた。だが、スクープのせいで北朝鮮の反撃が激化。その上、想定外の悪魔的計画も浮上し...。