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「長いお別れ」 中島 京子著

  かつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめた東家の大黒柱・昇平は10年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻の曜子とふたり暮らし。娘が3人おり、海外在住のティーンエージャーの孫もいる。今もなお難読漢字はすらすらと読み書きできるが、外出先からは帰路を失い、会話が成立しているように見える相手のことも聞けば誰だかもうわからなくなってしまった。
 “少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていく”といわれる認知症。日々起きる不測の事態に右往左往しながらも、生活を彩るかろやかなユーモアをもって暮らしていくある家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出されている。
 老老介護を成立させる夫婦の愛情がいかに過酷な状況をのりこえさせるのか、またわずかな時間を共にした孫が祖父をどのようにおぼえていたのか――軽妙な読み味の先に深くにじみてくる感動のある1冊。

書名:長いお別れ
著者:中島 京子
発行:文藝春秋
定価:1550円+税

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