コロナ対策で家にいることが多くなり、自炊する機会が増えたという人もいるだろう。それも出来るだけ「手抜き」したいのが人情。本書『syunkonカフェごはん レンジで絶品レシピ』(宝島社)は、人気料理コラムニストの山本ゆりさんが、電子レンジだけで作る112種類のレシピを紹介したものだ。
先日、NHKの「ごごナマ おいしい金曜日」に山本さんが出演し、簡単レンジ飯の作り方を実演していた(2020年7月5日放送)。材料を耐熱容器に入れ、電子レンジ(600W)のスイッチを押す。加熱時間はそれぞれ、キーマカレー(12分)、ツナマヨピーマン(2分30秒)、パプリカのマリネ(4分)、なすと大葉のペペロンチーノ(9分)、アクアパッツァ(4分)、豚キムチ豆腐(8分)と短い。生放送だったが、あっという間に料理が次々と完成する様子を見て、あっけにとられた。
番組で山本さんが電子レンジお勧めのポイントとして5点挙げていた。
1 簡単 火加減などの調整などが不要。 2 早い 根菜やかたまり肉も数分で火が通る。 3 楽チン 鍋やフライパンの汚れ落としや洗い物、片づけが少ないので楽。 4 自由時間 火を使っているわけではないので、レンジで加熱している間は目が離せる。 5 栄養やうま味が逃げない 電子レンジは水をあんまり使わず時短で料理するので、水溶性のビタミンなど栄養が逃げにくい。野菜の色やうま味も多く残る。
放送後、あの電子レンジを使ったレシピを作りたいと思っていたところ、書店で目にしたのが本書だ。2016年5月28日に第1刷が出て、2020年4月で第17刷と版を重ねている。料理ブログからスタートして、『syunkonカフェごはん』シリーズは5冊の累計が430万部を超えるベストセラーになっている。本書はその6冊目だ。
山本さんは電子レンジが嫌いだったという。しかし、いろいろ試作していくうちにレンジの特性を知り、「いいところを伸ばしてやれば、こんなにも便利で画期的なものはないんじゃないか」と思うようになったという。
本書は9つのパートからなる。人気レシピBEST10(肉じゃが、チキンのトマト煮など)、カフェ定食(豚バラチャーシュー丼セットなど)、ボリューム肉おかず(豚キムチなど)、手軽に魚介おかず(えびチリなど)、ヘルシー野菜おかず(アスパラベーコンなど)、ご飯もの(パラパラ焦がしねぎチャーハンなど)、めん類(ナポリタンなど)、デザート&おやつ(牛乳プリンなど)、材料ひとつで即一品(かぼちゃの煮ものなど)。
「これは驚いた」というのがチキンカレーだ。ひと口大に切った鶏もも肉、薄切りにした玉ねぎ、カレールウ1片、トマトケチャップ、ウスターソース、インスタントコーヒーの粉、水を耐熱ボウルに入れて、ふんわりとラップをかけて8分加熱し、混ぜる。「煮込まない分、普段よりスパイシーに仕上がるのもポイント」だそうだ。
レシピのほかにもさまざまなレンジの活用法も紹介している。だしをとる、バナナを完熟にする、カリカリベーコンをつくる、豆腐の水きり、油揚げの油ぬき、大根の下ゆで、玉ねぎを炒める、パンをふっくらさせる、バターを溶かす...などだ。
冷めた料理を温めるだけにレンジを使っていたのがもったいないと思うほど、レンジには可能性があることを知った。
山本さんは「レンジ料理は、手抜きだとか、ちゃんとした料理じゃないと思われるかもしれません。でも食事は毎日のこと。しんどい時や、落ち込んでいる時、色々あると思います。外食やレトルト食品、お惣菜などに頼ってもいいと思うんですが、『これなら作れる』というレシピがあったらギチギチだった心がちょっと楽になります。あいた時間と、少し余裕が生まれた心で、笑顔で過ごせたら、それが一番なんじゃないかと思います」と書いている。
本書の価格も本体500円+税と手ごろなのもうれしい。評者もこの本と食材をいくつか買い込み、さっそく作ってみた。レンジだけで作ったとは思えない出来栄えと味に満足した。2019年には続編の『syunkonカフェごはん レンジでもっと!絶品レシピ』も出ているので、さらにレパートリーは増えたようだ。
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