読むべき本、見逃していない?

アフリカに「中国人」が増えている!

  • 書名 2100年の世界地図
  • サブタイトルアフラシアの時代
  • 監修・編集・著者名峯陽一 著
  • 出版社名岩波書店
  • 出版年月日2019年8月23日
  • 定価本体960円+税
  • 判型・ページ数新書判・214ページ
  • ISBN9784004317883

 近未来を予想した本は少なくない。たいがいは2030年とか2050年どまりだ。本書はさらに先へと進んでいる。『2100年の世界地図』(岩波新書)。どうせ生きていないから、と大半の読者は思うことだろう。評者もその一人だが、本書を読んで、大変な事態になっていることだけは分かった。著者の峯陽一さんは同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。

日本は8500万人ぐらいに

 副題に「アフラシアの時代」とある。これはアフリカとアジアを合成した造語として、時々使われているそうだ。有名な歴史学者のトインビーが大著『歴史の研究』(1934-54年)の中で使ったのが初出らしい。アジアとアフリカが地理的に結びつく中東・北アフリカ地帯を「アフラシア」と名付けた。シュメール文明やエジプト文明が誕生したのは、アフラシア地方の住民が、環境変化に創造的に反応した結果なのだという。

 さらにその後も「アフラシア」という用語は、多少概念を変えながら様々な学者の論文で取り上げられてきた。本書ではアジアとアフリカを単純につなげた地理的概念として使っている。

 2100年とは、この「アフラシア」のパワーが驚くほど強まる時代だという。一番はっきりしているのは人口増だ。

 国際連合経済社会局人口部の予測によると、2100年の世界の人口は約111.8億人。そのうちアジアは47.8億人、アフリカは44.7億人、南北アメリカは12.1億人、ヨーロッパは6.5億人。アジアとアフリカで世界人口の8割以上を占めるようになる。

 ちなみに2001年の世界人口は約62.2億人。アジアが37.8億人、南北アメリカが8.5億人、アフリカが8.4億人、ヨーロッパが7.3億人だった。アフリカの急増ぶりは尋常ではない。5倍以上に膨れ上がるのだ。

 アジアでは中国が12.9億人から10.2億人に減るが、インド、パキスタン、バングラデシュの南アジア3国が合計で20.4億人と存在感を増す。アフリカではナイジェリア、コンゴ民主共和国、タンザニアなどが人口大国に。日本は8500万人ぐらいに減る。

ムスリムも増える

 こうしたアフラシアの人口急増によって、食料、エネルギー、環境、ビジネスなど地球上で大変化が起きそうなことは容易に想像がつく。本書は、「第一部 二一〇〇年の世界地図」「第二部 後にいる者が先になる」「第三部 アフラシアの時代」の三部に分けて考察する。

 もちろん2100年における変化は突然現れるものではない。すでにじわじわと進展している。近年しばしば取りざたされているのが、中国からアフリカへの「移民」だ。中国がアフリカを外交的に重視して、経済協力などを通じて存在感を高めようとしていることはよく知られている。本書によれば、料理人、中国語講師、建設労働者、さまざまなビジネスマンや商売人などあらゆる階層の中国人がアフリカで暮らし始めているという。

 そういえば20年ほど前に評者は、中国の大学で学ぶ日本人学生から、「アラビア語を学ぶ中国人の学生が想像以上に多い」という話を聞いたことがあった。アラビア語ができれば、中国国内にとどまらず、中東から北アフリカなどを舞台に国際的に活躍できるチャンスが広がるからだという。『牙――アフリカゾウの「密猟組織」を追って』(小学館)には、アフリカ東部で象牙の密売組織を牛耳っていた「象牙女王」と呼ばれる謎の中国人女性が、スワヒリ語が巧みだと出ていたことも思い出した。

 アフリカで暮らす中国人について、本書では今のところ50万人程度とみている。日本人は8000人弱だから、中国人とは桁が違う。安倍首相がアフリカを重視しているということが時折報じられるが、来るべき時代を先読みしているかのような中国とは差がついているようだ。

 本書では宗教についても触れられている。2010年に世界人口に占めるキリスト教徒の割合は31.4%、ムスリムは23.2%。これが2050年になると、両者が約30%ずつで拮抗するという。

 「2100年」に世界がどうなっているのか。まだまだ不確定要因も多いようだが、評者としては、ソフトランディングを希望するのみだ。日本の未来予想などを時折見かけるが、こうした世界規模の地殻変動も頭に入れておく必要がありそうだ。

 BOOKウォッチでは『未来の年表――人口減少日本でこれから起きること』『未来の年表2――人口減少日本であなたに起きること』『未来の地図帳――人口減少日本で各地に起きること』『未来の中国年表』(いずれも講談社現代新書)を紹介済みだ。

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