「頭のいい子」「できる子」の育て方を説く本は多い。そういった類の本をあまり読まない評者だが、本書『賢い子どもは「家」が違う! 10歳までの「教育環境」で自分からやる子に育つ』(発行 リベラル社/発売 星雲社)は手に取ってみた。
「成長を助けるオススメ本・オススメおもちゃ」115点がカラーで詳しく紹介されていて、即参考にできること。また、親が子にすることだけでなく親自身のすることが書かれていて、親から子への一方的な押し付けにはならないと感じたこと。こうした理由から、読んでみようと思った。
著者の松永暢史さんは、1957年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。教育環境設定コンサルタント。受験のプロとして音読法、作文法、サイコロ学習法、短期英語学習法など、さまざまなメソッドを開発している。教育や学習の悩みに答える教育相談事務所V-netを主宰。
シリーズ累計60万部を記録した『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)をはじめ、『男の子は10歳になったら育て方を変えなさい!』(大和書房)、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)など著書多数。本書は、2016年に単行本として刊行され、このたび文庫化されたもの。
「子どもが伸びるかどうかは、教育環境設定次第だといえる」――。家庭教師として数々の「家の有り様と親の姿」を目の当たりにした経験から、松永さんはこう断言する。本書は、松永さんが長年行ってきた「教育環境設定」において、主体的な子どもに育てるための方法を余すところなく書いたもの。
「家の各部屋に何を置き、何を排除するべきか。日々の暮らしの中で、どういう家族関係をつくるべきか。子どもにはどんな習慣をつけさせ、そしてどんな悪癖を断ち切るべきか。勉強のことを考える前に、どのような本を、そしてどのようなおもちゃを用意するべきか」
これらの「つい見落としてしまいがちなこと」が、もれなく紹介されている。
本書は、以下の6章で構成されている。
第1章 なってほしいのは「自分でやる子」
第2章 賢い子どもは「賢くなる家」に住んでいる
第3章 好奇心がどんどん高まる「本選び」
第4章 子どもの力を伸ばす「遊び」
第5章 やる気を伸ばすのは「家族の力」
第6章 「主体性のある子ども」が勝てる理由
第1章から4章は「家(家具や本、おもちゃ)」というハードの環境を変えること、第5章は「家族・家庭」というソフトの環境を変えることが提案されている。ここでは、第2章に書かれている「家」の各部屋の具体的な提案を紹介していこう。
■リビング
・家の中心となるリビングから、テレビを撤去する。それが、教育環境設定のはじめの一歩。
・いつでも本が手に取れる環境、常に家族の誰かが本を読んでいる環境。これは賢い子どもを育てるための、最も効果的で早い方法。
・子どもの頃から無理なく知識や自分から学ぶ習慣を身につけさせるために、リビングに図鑑を置いておくことはとても効果的。
■ダイニング
・どんなものを、誰と、どのような空気感の中で食べるかは、大げさでなくその人の人生や人間性を左右する。
■子ども部屋
・子どもに自分の部屋を与えるタイミング(目安)は、「ひとりで風呂に入るようになる頃」。
・子ども時代はオープンに、思春期になれば密室に。それが理想の「子ども部屋」。
リビングからテレビを撤去するのは難しいけど、図鑑や地図を置くことはできるな。テレビをつけっぱなしで、会話のない食事は反省しないと。子が思春期になったら、プライバシーは大人と同等なのか......など、読む人がそれぞれの生活スタイルと照らし合わせ、我が「家」を改善するためのヒントにあふれている。
最後に触れておきたいのが、タイトルにある「賢い」の意味について。最終章で松永さんは「高偏差値・高学歴は時代遅れ」「詰め込み学習で子どもが壊れる」「主体性があって初めて、『幸福』がつかめる」と書いている。
親は、子の将来の幸福を願い、子の現在に関わっている。親の関わり方が、子の将来に大きく影響する。優秀な成績、志望校合格など、親はつい目先の結果を追い求めてしまうもの。しかし、まず我が「家」の環境を整え、子の将来を俯瞰して導くことが、親のすべきことと教えられた。
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