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否定から入る人の心理は? 210の挙動パターンから本心を見抜く

しぐさの心理学

 進学、進級、就職、人事異動などにより、この4月から新たな環境に身を置くことになった人は、人間関係を1から築く必要に迫られていることだろう。波長が合う相手ばかりとは限らず、どうしても苦手意識を持ってしまう相手もいる。そんなとき手に取ってほしいのが、本書『しぐさの心理学』(KAWADE夢文庫)。よくあるシチュエーションを例に、210の挙動パターンから相手の本心を見抜く術をわかりやすく伝授してくれる。

自身を見直すきっかけにもなる

 著者の牧村和幸さんは大阪府生まれ、関西大学法学部卒業。心理研究家。幼少時より人間心理に強い興味を持ち、高校時代より独学で心理学と東洋哲学を学び、関連する文献を5000冊以上読破した。実生活での体験も反映させ、2014年に人間心理のポータルサイト「今すぐ使える新時代の心理学講座」をスタートし、累計6000万アクセスを達成した。

 本書は「ふいに表れるしぐさからわかる心理」「あの人の特徴的な話し方・口癖からわかる心理」「言葉よりも雄弁な身ぶり・態度からわかる心理」「顔のパーツや動きに注目! 表情からわかる心理」「ずっと疑問に思っていた行動パターンからわかる心理」「大きな声では言えない趣味・嗜好からわかる心理」の6章で構成されている。

 本書は「もう、誰のどんな嘘もあなたには通用しない!」「『本心がわからない』と悩む前に読むべき書!」「"コミュ力"が上がり、人間ツウになれる!」とコピーがついている。ただ、相手のしぐさから本心を見抜けるようになるだけでなく、本書にはもう1つの効用があると思う。自分が普段何気なくしている挙動にはこんな意味があるのか、相手はこう感じるのかと、自身のふるまいを見直すきっかけにもなる。

よくある挙動パターンで、実生活に活かしやすい

 210の挙動パターンはどれもよくあるもので、身の周りにいる人や自身にあてはめて考えやすい。ここでは、特に新入社員の方に知っておいてほしい2つを紹介したい。

・余計なアドバイスをする人は「崖っぷちな人」
「自分は必要とされていると感じたいのだ。...ベテランと呼ばれるようになり、主戦力から外れそうになっている。...そういう人が認めてもらいたくて、しきりにアドバイスをするのだ。...自分の危うい立ち位置は痛いほど理解している、寂しい人だともいえるのだ」
・否定から入る人は不安を抱えている
「自信がないのに自己愛だけが強い場合、自分の立場を守るために、相手を否定して上に立たなければいけない。...こういう人は、実は、自分の『否定から入ってしまう』癖を欠点として理解していることも多い。それでも、そうしてしまう心理的要因があるのだ。そこを理解した上でうまくつき合えば、視点を変えた意見交換ができ、建設的な議論にもっていけるかもしれない」

 著者は冒頭に「『心を読むヒント』を自由自在に使いこなして豊かな人間関係を築き、快適な毎日を送る。それが、真の人間ツウというものだろう」と書いている。人の何気ない挙動に隠された意味を知り、表面的な言葉や態度で相手の人間性を判断することはやめよう、相手に不快感を与える挙動はしないように意識しよう、と思った。本書を読み、学校や職場で人間観察をしてみると、人間関係を築くことが面白く感じられるかもしれない。

  • 書名 しぐさの心理学
  • 監修・編集・著者名牧村 和幸 著
  • 出版社名株式会社河出書房新社
  • 出版年月日2019年3月 1日
  • 定価本体720円+税
  • 判型・ページ数文庫判・224ページ
  • ISBN9784309485102
 

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