読むべき本、見逃していない?

メディアウォッチの参考書、6年ぶりのリニューアル

図説 日本のメディア [新版]

 書籍の「ロングテール」と言えば、普通は受験参考書や辞書の類を思い浮かべる。一般書では珍しい。本書『図説 日本のメディア [新版]』(NHK出版)は、その珍しい一冊だ。

 原著は1980年に刊行され、コツコツと13万部を売り上げてきた。本書はそれを6年ぶりに新執筆陣によって全面リニューアルしたものだ。ゆえに「新版」と銘打たれている。

ネットに揺さぶられている

 全面リニューアルに踏み切った最大の理由はネットメディアの爆発だ。戦後のマスメディアの世界を振り返ると、過去にも、週刊誌の刊行ラッシュやテレビの影響力増大など、いくつかの節目があった。しかしそれらは旧来の秩序の中の出来事だった。ところがネットメディアは異なる。既存メディア全体が創り上げてきた秩序が根底から揺さぶられている。

 著者の藤竹暁・学習院大学名誉教授は既存メディアを「伝統メディア」と規定する。なぜなら新聞もテレビも雑誌もすべてが、ネットメディアの挑戦を受けているからだ。しかもいまのところ、両者を共通に規定する「新しい秩序」ができていない。過渡期の混とん状態にある。この先、ネットも含めたメディア全体がどうなっていくのか、誰もがきちんとイメージできない。

 本書はそのような伝統メディアのあたふたと、新興のネットメディアの躍進ぶり、必要な対策や未来図をそれぞれの現場に詳しい筆者が分担して記述している。

 第1章「新聞」は松井正・読売新聞専門委員。第2章「放送」は村上聖一・NHK放送文化研究所メディア研究部副部長と渡辺洋子・同世論調査部員、第3章「雑誌」はマガジンハウスも経験している清水一彦・江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授、第4章「広告」は土山誠一郎・日経広告研究所主席研究員、第5章「映画・音楽」は日本テレビ勤務経験がある大場吾郎・佛教大学社会学部教授、第6章「ケータイからスマホへ」は古川良治・成城大学社会イノベーション学部教授、第7章「ネットメディア」はヤフー・トピックス元編集長の奥村倫弘氏。

多数のデータ

 このうち「ケータイからスマホへ」、「ネットメディア」は今回新設された。「図説」と強調されていることからも分かるように、多数のデータが紹介されている。たとえば第3章では「多角化で変化する出版の収益構造」について論及され、出版社では出版物の売り上げが減っているが、雑誌から派生する関連ビジネスを拡大しようとしている様子が数字で説明されている。

 各氏の論考では、当然ながら現在およびこれから直面する課題とその対策部分がポイントになる。紙幅の関係もあって、全体にあっさりしすぎている感もあるが、本書はあくまで概説書なので、より深く知りたい向きは、巻末の参考文献を紐解くとよいだろう。

 全体としてマスコミを志す学生向けの案内書となっているが、メディアに関心を持つ社会人にも有益だ。

  • 書名 図説 日本のメディア [新版]
  • サブタイトル伝統メディアはネットでどう変わるか
  • 監修・編集・著者名藤竹暁、竹下俊郎 編著
  • 出版社名NHK出版
  • 出版年月日2018年11月24日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数四六判・312ページ
  • ISBN9784140912539

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