読むべき本、見逃していない?

あなたも「歴史家」になれる 独学のノウハウが満載

  • 書名 独学で歴史家になる方法
  • 監修・編集・著者名礫川全次 著
  • 出版社名日本実業出版社
  • 出版年月日2018年11月20日
  • 定価本体1800円+税
  • 判型・ページ数四六判・304ページ
  • ISBN9784534056474

 定年前後の中高年に向けて、「歴史の独学」を勧めているのが、本書『独学で歴史家になる方法』(日本実業出版社)だ。「カネなし、学(専門研究)なし、人脈なし」のゼロからでも歴史家になれると勇気づける「学問のすすめ」の書でもある。

 著者の礫川全次(こいしかわ・ぜんじ)さんは、1949年生まれ。1972年に東京教育大学を卒業し、都立高校教諭となったが、大学紛争であまり勉強できなかったことへの「リベンジ」でその後、歴史民俗学に興味をもったという。

 最初は趣味的に「サンカ」研究からスタート、1990年に「関東歴史民俗学研究会」を立ち上げ、そのレジュメを出版社に送ったところ執筆依頼があり、『サンカと説教強盗』(批評社)を書いた。編著書『性愛の民俗学』(批評社、歴史民俗学資料叢書第三期第三巻)を最後にノンフィクションライターの自称を返上、以後は「在野史家」として、『アウトローの近代史』(平凡社新書)など近現代史、犯罪民俗学、宗教社会学をフィールドに多くの著作を出している。

 なぜ歴史を勧めるのか。その理由として歴史研究に特別な知識、技術はいらないからだという。またテーマは身のまわりに転がっており、プロの研究者が扱わないテーマでも一定の成果を挙げることができる、と力説する。

 その上で、「歴史愛好家」ではなく「歴史研究者」としての自覚をもつために、まず本の読み方から変えよう、と書いている。注、引用文、参考文献にも目を配るようにしなければならない。

貴重な資料はこんなところに

 研究の手がかりになる貴重な情報は意外なところに眠っているという。たとえば、こんなところだ。

① 存在が知られていないパンフレット
② あまり注目されない研究書
③ 学校が発行した小冊子
④ 発禁本で削除の対象となった箇所
⑤ 民間研究団体の機関誌
⑥ 忘れられた教育雑誌
⑦ 文部省発行の小冊子
⑧ 政府広報誌のバックナンバー
⑨ スクラップブック
⑩ 本の正誤表

 実際に礫川さんが、入手した資料からどんな問題意識をもち、研究したかの実例も豊富に紹介している。

 資料集めには図書館や古本屋の利用はもちろん、インターネットを利用すると、国立国会図書館のデジタルコレクションにつながることもあり、クリック一発でその本を閲覧、プリントアウトも可能だというから、便利な時代になった。

 ブログを研究日誌として活用する方法や論文のまとめ方など、具体的なノウハウも披露している。

お勧めのテーマはこれだ

 巻末の付録も充実している。付録1では、「白村江の敗戦とその影響」「高麗神社の由来と歴史」「赤穂事件(元禄事件)研究の死角」「昭和初年の血液型ブーム」「私立医学専門学校の『不正入学』」「五・一五事件と茨城県人」「戦前戦中の『ナチス憲法』」「戦時下における盆踊りの復活」「下山事件は自殺か他殺か」「古畑種基博士をめぐる謎」など、歴史独学者に勧める15の研究テーマを参考文献とともに挙げている。

 また付録2では55冊の本を勧めている。戦前の本も多いが、松尾正人『廃藩置県』(中公新書、1986)、原武史『滝山コミューン一九七四』(講談社、2007)、藤巻一保『吾輩は天皇なり』(学研新書、2007)、内田宗治『関東大震災と鉄道』(新潮社、2012)、渡部富哉『白鳥事件』(同時代社、2012)など近年の本もあるので参考になるだろう。   

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