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カーリングの本橋麻里、半生を綴った初の著書

0から1をつくる

 昨年(2018年)2月に開催された平昌五輪で、日本は冬季五輪史上最多となる13個のメダルを獲得した。読者の皆さんは、どの競技、選手が印象に残っているだろう? 個人的には、カーリング女子日本代表について開幕前はそれほど関心がなかったが、和気あいあいとした雰囲気に好感を持った。当時、メディアもこぞって「もぐもぐタイム」「そだねー」を取り上げ、カーリング女子のブームが巻き起こったことは記憶に新しい。

自身の言葉で、冷静に半生を振り返る

 カーリングは、アイス内で試合をするのは4人。そこにもう1人、コーチボックスに座り、5人目の選手としての役割を果たしたのが本橋麻里さん。本書『0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方』(講談社現代新書)は、平昌五輪に出場し、銅メダルを獲得した本橋さんの初の著書となる。

第1エンド はじめに
第2エンド 平昌五輪「銅メダル獲得」の裏で
第3エンド 何もない町に生まれ、トリノ五輪に出るまで
第4エンド バンクーバー五輪、チーム青森で学んだこと
第5エンド ロコ・ソラーレ結成、組織とは何か
第6エンド 家族から成長させてもらったこと
第7エンド 結集した、それぞれの想い
第8エンド 綿密なコミュニケーションと観察眼
第9エンド 地元への感謝、私たちの未来
第10エンド おわりに――「今、3合目にいます」

 本橋さんは、1986年北海道北見市(旧常呂郡常呂町)生まれ。12歳で本格的にカーリングを始め、チーム青森のメンバーとして2006年トリノ、10年バンクーバー五輪に出場した。バンクーバー五輪後に新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げ、18年平昌五輪に出場。18年にチームを一般社団法人化し、代表理事としてチームのマネジメント、後進の育成に携わっている。

 「そだねー」が2018年の流行語大賞を受賞し、本橋さんの姿をメディアで久々に見た。カーリング女子は話題性があり、メディアの取り上げ方はどうしてもミーハーな印象があった。しかし本書を読むと、第三者によって語られた本橋さん、カーリング女子のイメージが払拭される。冷静に半生を振り返り、本橋さん自身の言葉で綴られているところが魅力だ。

「田舎」「地方」を強みに思う

 本書は、メディアから受けた印象とは違う顔をいくつも見せてくれるが、冒頭の言葉で早速イメージを覆される。

「私は時々、とても輝かしい人生を送っているように人から見られるんですけれど、そんなふうには全然思っていません。本当に普通の、どちらかといえば不器用で未熟な人間だと自覚しています」

 また、サブタイトルにあるように、本橋さんの地元・常呂町への並々ならぬ愛が伝わってくる。

「ゼロは最強です。アイデアと体力さえあれば、何でも生み出すことができる。0から始めることができれば、理想の10に向けた1をつくれると私は思っています。...地方だからこそ、前向きに、どんどん進めることができる」

 本橋さんは、2018~19年シーズン、選手として休養する決断をした。同時に「ロコ・ソラーレ」を法人名として一般社団法人化し、代表理事に就任。「社会人1年目」として奮闘中という。オホーツク海沿いの小さな町・常呂町で、子育てに励みながら、地元の未来、カーリングの未来を見据えて精力的に活動する本橋さん。同世代の女性として、1つのライフスタイルを提示された気がした。

「メダリストなんて、1年経てばタダの人なんです。五輪のメダルをちらつかせるだけで後半生を生きていくなんて、私はしたくありません。五輪という経験を活かして、一つの人格をきちんと確立できるのかを考えていかないとな、という思いは常にあります」

 本書は、カーリング女子のファンはもちろん、組織のつくり方、コミュニケーションのとり方、地域との関わりについても触れられているため、ビジネスパーソンにもオススメ。本橋さんは「何かに向かっている人、変わろうとしている人に読んでほしい」「何かビジネスヒントを拾ってくれたなら、現代を生き抜くためのヒントにもなってくれたなら、とても嬉しい」という思いを本書に込めている。

BOOKウォッチ編集部 Yukako)
  • 書名 0から1をつくる
  • サブタイトル地元で見つけた、世界での勝ち方
  • 監修・編集・著者名本橋 麻里 著
  • 出版社名株式会社講談社
  • 出版年月日2019年1月20日
  • 定価本体880円+税
  • 判型・ページ数新書判・192ページ
  • ISBN9784065144145

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