漫画『パタリロ!』の作者として知られる魔夜峰央さんが画業45年を振り返って出したのが、本書『翔ばして!埼玉 魔夜峰央パーフェクトお仕事ブック』(宝島社)だ。
『パタリロ!』については、10歳の変態天才少年国王が活躍するハイパーギャグワールドで、下ぶくれの顔は見覚えがあるだろう。
一方、本書のタイトルの元になった『翔んで埼玉』については、説明が必要だ。漫画雑誌「花とゆめ」(白泉社)1982年冬の別冊、83年春の別冊・夏の別冊に3話まで連載された未完の作品。ところが30年もたった2015年にSNSで、あまりの埼玉差別(当然ギャグ)が話題になり、宝島社が復刊した。当初2万5千部で計画したのが、50万部を超える大ヒットとなった。
簡単に紹介すると、こんな話だ。
舞台は出身地によって厳しい差別が横行する架空世界の日本。著しく文明が遅れていた埼玉の人々は、東京都民から激しく蔑視されていた。埼玉から東京に行くには通行手形が必要だった。東京の名門校に転入してきた成績優秀でスポーツ万能の美青年は、実は埼玉県人で、埼玉を解放する夢をもっていたが......。
当時、埼玉県所沢市に住んでいた魔夜さんが、『パタリロ!』執筆の締め切りのストレスから逃れるため書いた自虐的なギャグ漫画だった。その後横浜市に転居したため、これ以上は書けない(他県民による悪意になるから)と未完に終わっていた。
本書の中で当時を振り返り、おおらかな県民性の埼玉だからこの作品が成立した、と書いている。「ほかの県では絶対にムリでした」とも。
30年ぶりの復刊大ヒットを受けて映画化され、今年(2019年)2月22日公開される。映画化についても第一声は「正気ですか?」だったと本書で明かしている。主演は二階堂ふみさんとGACKTさん、ほかに京本政樹さんらが出演する。
と、ここまで『翔んで埼玉』について書いてきたが、本書は魔夜さんが手がけた作品のグラビア、作品解説のほか、魔夜さんがその「まんが道」について描いた漫画「翔ばして!埼玉」17話136ページで構成されている。変な本(漫画?)だが、ファンにはたまらない一冊だろう。
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