化粧品会社の製品やエステサロンなどがリードしていた美容でも自然志向が強まっている。そのトレンドの一つは表情筋トレーニングだ。本書『美顔ボイトレ』(祥伝社)は、数々の指導経験を持つボイストレーナーの鳥山真翔(まなと)さんが、発声訓練が表情筋を鍛えることにつながり、ひいては美顔作りを導くことに気づき、そのためのトレーニングについて解説しやり方を説明したもの。道具などは不要で、手軽にできそうだ。
化粧品や美容用品のテレビCMや雑誌の広告で、フェイスラインの改善やほうれい線の悩み解消などをアピールする内容のものが最近は少なくない。もちろん、それらの製品にはそれなりの効果があるのだろうが、著者によれば、輪郭の変化やほうれい線が目立つようになるのは、生まれつきの骨格のせいでも、単純な加齢によるものでもなく、顔の表情筋を使ってこなかったからだという。
ボイストレーナーである著者はこれまで、売れっ子の歌手や女優、声優のほか、話すことのプロであるアナウンサーら含め1万人を相手にトレーニングを指導。そのなかで気付いたことは、多くの人が「間違った発声法」をしているということ。たとえば音量の上げ下げのためには、顔の表情筋をはじめ筋肉を使って「響かせ方」を調整するのだが、たいていの人は喉に力を込めて声を張り上げようとする。これでは表情筋を衰えさせ喉をいためることになるばかりというわけだ。
「間違った発声法」を放っておけば、表情筋が退化してフェイスラインがたるみ、ほうれい線が深まるばかりか、喉の悪影響が及び、年を重ねるにしたがって、しゃべりに元気がなくなってしまう。
声を出すための器官は声帯。その周囲の筋肉が動くことで発声する。発声に関する声帯の周囲の筋肉はほとんどが「不随意筋」で、意識的には動かせない。では「間違った発声法」を直すため、発声をコントロールするようにするにはどうすればよいか。「意思によって動かすことのできる『随意筋』をうまく使う必要がある」のだ。
その発声にかかわる随意筋が、一つは表情筋であり、もう一つは、発声で重視される腹式呼吸に欠かせない横隔膜だ。横隔膜を使った腹式呼吸で、声帯周りの不随意筋の酷使がなくなり喉をいためることが避けられる。
腹式呼吸の一方で「随意筋である表情筋を意識的に動かすことで、声帯まわりの不随意筋を動かす神経にアプローチし、喉まわりはリラックスしたままの状態で、発声をコントロールし鼻腔に響かせる」ことが、美顔ボイトレの特徴。表情筋を動かすことで、上顎の軟口蓋の筋肉が自然に動き、鼻腔へ空気を送る気道が確保されやすくなるという。
正しい発声法が身につけば、口の周りの口角挙筋がギュっと上がって、美しさや印象が格段にアップするという。しばしば発声法として口を大きく開けることが指導されたりするが、著者によると、顎関節を使うのはNG。テレビニュースのアナウンサーでもみられるそうだが、口が動くたびに首に筋が入ったりするのは正しい発声法ではないと指摘する。本書ではタレントを例に出して「良い」「良くない」を示しているので、具体的な参考になるかもしれない。
「間違った発声法」だと、表情筋を使わず顎を動かして話をする。表情筋を使わないと顔の血行が鈍り、たるみやゆがみ、シワやシミの原因にもなる。それらに悩んでいる人でも手遅れではないという。「表情筋を使った発声法を身につければ」と著者。「伸びやかに声を響かせ、喉に負担をかけることなく会話を楽しめる。毎日表情筋を使って話すようになれば、日常の会話自体が表情筋のトレーニングになり、顔の皮膚の代謝がよくなり、たるみやシワ、くすみやシミといった顔の悩みも改善でき、はつらつとした表情に変わる」とアピールしている。
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