最近、アルファベット四文字の略字を見かけることが多くなった。代表は「LGBT」。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったものでセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称だ。
もう一つは「SDGs」。Sustainable Development Goalsの頭文字などを取ったもので、「持続可能な開発目標」のこと。最後のsは、複数ということを強調しているからか。
「SDGs」は2015年9月の国連総会で採択された2030年までの具体的な行動指針だ。17のグローバル目標が掲げられている。少し長くなるが、ウィキペディアから紹介する。
「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に保健と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「人や国の不平等をなくそう」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」「平和と公正をすべての人に」「パートナーシップで目標を達成しよう」
この目標のもとにさらに169項目のターゲットが定められている。「貧困」で言えば、「2030 年までに、現在 1 日 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困 をあらゆる場所で終わらせる」などかなり細かい。
本書『SDGsの基礎』(宣伝会議刊)は、このSDGsについて、国内の関係者が概要を解説したものだ。日本の政府・環境省の取り組み、企業におけるSDGsの役割や戦略など、日本でやろうとしていること、やらねばならないこと、すでにやっていることなどが示されている。
関係者の間では有名なのだろうが、いくつか新しく知ったことがあった。たとえばセイコーエプソンが開発した「PaperLab(ペーパーラボ)Aー8000」。使用済みの紙から新たな紙を作り出す機器だ。これまで紙のリサイクルでは大量の水が使われていたが、「ペーパーラボ」では、製紙過程でほとんど水が不要。給排水工事も必要ないため、オフィスフロアに置いて使える。すでに発売されているそうだ。本書では「SDGsが掲げる数々の目標に合致する画期的な製品」と評価が高い。
海外企業では、ユニリーバの取り組みが紹介されている。社会貢献、環境負荷の削減を実現しつつ収益も伸ばしている。こうした実例をもとに、本書は、SDGsの目標を念頭に置き、それに沿った形で技術革新を進めることで新たなビジネスチャンスが生まれ、企業体質や経営にもイノベーションが行われる。すなわち、企業も消費者も社会もトクする「三方よし」が可能だし、それを目指すべきだとしている。編集した学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学は2012年4月創立の専門職大学院。
ところで、「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」などの中に、冒頭のLGBTも含まれているのかと思い、ターゲットをチェックしてみたが、それらしいものは見つからなかった。SDGsの取り組みに含まれているのかと思ったら、どうも除外されているようなのだ。その理由として、たとえば同性婚を認めている国は多々あるが、一方では同性間の性行為に厳罰の国まである。国連の議論では共通目標に含むことができなかったということらしい。世界各国で合意するというのが、そう簡単ではないことを再認識した。逆に言えばそれだけ、SDGsの掲げる指針が重い意味を持つということなのかもしれない。
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