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くまモンが「一発屋ゆるキャラ」と違う理由

くまモンの成功法則

 イベントのプロモーションや地域起こしで生まれたマスコットが、ゆるキャラと呼ばれるようになってブームを巻き起こしたが、数々登場したキャラクターのなかで、熊本県の「くまモン」は、別格的存在といえるだろう。2010年に登場して以来、その人気は国内にとどまらず諸外国にも及び、熊本地震(2016年4月)で受けた被害からの復興にも大きな役割を果たしているという。

 本書『くまモンの成功法則』(幻冬舎)は、くまモンの成長の軌跡をたどった第2弾。「ビッグネーム」との交わりや「ビッグステージ」への出演、国際シーンへの進出など、この5年間に広がった活動範囲と、それを支えた舞台裏の物語が軽妙なタッチで報告されている。

拡大する経済効果、活動範囲

 本書は、2013年3月に発売された『くまモンの秘密』(幻冬舎新書)の続編。14年4月以降に起きたくまモンにまつわる様々な出来事をまとめたものだ。著者のチームくまもんは、熊本県知事公室くまモングループなどの県庁各セクションや出先機関、外部の協力企業などのほかファンらを合わせたバーチャル組織とされる。

 くまモンは10年に、同県のPRキャラクターとして登場し、翌年の「ゆるキャラグランプリ」で1位となり知名度を高めた。同グランプリは当時2回目で、くまモンは、ゆるキャラブームをけん引する役割も果たした。くまモンを追いかけ、数々のゆるキャラが、このグランプリを通じるなどして、あるいは、地域の非公認をウリにするなどして人気者に成長した。

 ゆるキャラブームもかつてほどの熱はなくなり、人気タレント並みに毎日のようにテレビに登場していたキャラクターも露出度が減っている。グランプリで優勝したご当地キャラなどは、地域のイベントなどでは変わらず活動しているようだが、くまモンだけは相変わらず幅広い人気を維持しているという。

 本書によると、17年度末現在、利用許諾件数は2万7000件超。熊本県の関連商品売上調査によると、11年に25億円だったものが15年に1000億円を超え、17年は1408億円を記録した。こうして着実に人気が拡大するのを背景に、13年末にはNHK紅白歌合戦に出演、14年には歌舞伎の舞台で市川海老蔵さんと共演するなど、ゆるキャラのネーミングが不つり合いともいえるフィールドへと活動域が広がった。

数々の欧州ブランドとコラボ

 ゆるキャラの枠を超えた存在感を得て挑戦したのは国外へのアドベンチャー。まずは、テディベアで知られる独老舗人形ブランド、シュタイフとのコラボだ。熊本市民の提案が現実化してくまモンのテディベアをつくることに。シュタイフといえば1880年の創業以来、厳選された素材と熟練した職人による手作りを守り続け世界中にファンを持つ。

 価格(税別)2万8000円、13年5月発売。限定品の上限は1500体だが同社では売れ行きの予想ができず製作数に頭を悩ませたという。ところがネット予約開始2日前に県庁で会見を開いて販売計画を発表したところ、予約受付当日に開始5秒で完売した。

 欧州企業ではほかに、クリスタルの仏バカラ、英自動車のMINI(ミニ)、独カメラのライカなどとのコラボを展開。各国でくまモンの知名度を上げたものだ。

 くまモンがもたらしている経済効果や、国内外に広がる活動範囲の広さを知ると、「中の人」のタフネスぶりもそうだが、そもそもは、熊本県の「営業部長」の業務であり、活動報告の一つひとつの行間には、スタッフの奮闘ぶりがにじむよう。本書の帯には、その経済効果などに「なぜくまモンだけが?」と問いかけがあるが、それは、キャラクターのデザインや振る舞いの妙もあるが、コアを構成するのは、「チームくまモン」の仕事の流儀であることがよく分かる。

 J-CASTニュース編集部に7月、くまモンが、来年に熊本県で開催されるイベントのプロモーションでやってきたことがあった。くまモンほどの有名キャラクターが当編集部に現れるのは「業務」とはいえ、そうあることではない。そのあたりの大物ぶらない気安さとフットワークの良さがくまモンが愛される理由だろう。

  • 書名 くまモンの成功法則
  • サブタイトル愛され、稼ぎ続ける秘密
  • 監修・編集・著者名チームくまモン 著
  • 出版社名幻冬舎
  • 出版年月日2018年8月23日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数B6判・356ページ
  • ISBN9784344033412

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