リケジョという言葉を聞くようになって久しい。理系女子の略語で、理系の女子学生や女性研究者、 理系の進路を目指す女子中高生など広く理科系のことを学ぶ女性を指す。
本書『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)は世界の科学史に名を残すリケジョ列伝だ。これから国際的に活躍したいと思っている日本のリケジョ、特に小中学生には参考になりそうな本だ。
新聞広告でタイトルを見たときは、お堅い本かと思っていた。実際に現物を見ると、絵本の延長のようなビジュアル本。50人の女性科学者たちを大きなイラストと短い文章で紹介した児童書だ。したがって、小学生でも十分に読める。
登場するのは、古代ローマ帝国の天文・数学者のヒュパティアから現代の科学者まで多彩だ。人類を宇宙へ送るNASAの宇宙計画を成功に導いたキャサリン・ジョンソン。銀河系が回転していることを発見したヴェラ・ルービン。世界で初めて魚竜や首長竜の完全な頭蓋骨を発掘した化石ハンター、メアリー・アニングなどなど。中国人の名前も複数登場するが、残念ながら日本人はいない。
本書は2016年にアメリカで刊行され、20万部のヒットを記録、その後、19か国語に翻訳された。著者のレイチェル・イグノトフスキーさんは若手のイラストレーター。それぞれの女性研究者の姿を、小道具付きでこまめに描き分けている。
今では理系の研究に女性が関わるのは当たり前になっている。世界はもちろん日本のドラマでも、今やリケジョが活躍する。何気なく見ている「科捜研の女」も主人公は法医学研究員だ。しかし、そうなったのは比較的近年のことだということを著者はまず強調する。
後にノーベル賞を受賞した細胞遺伝子学者バーバラ・マクリントックはスカートではなくズボンをはいているということで、研究室の教授から白い目で見られた。核分裂を見出したリーゼ・マイトナーはベルリンの研究所でタダ働き。共同研究者のドイツ人男性はノーベル賞を受賞したが、ユダヤ人だった彼女は亡命していたこともあり、もらい損ねた。
本書に登場する女性たちは、いずれもその世界の有名人。したがって、多少なりとも理系の心得や志望があれば、知っている名前が多いのではないか。キュリー夫人を筆頭に、海洋生物学者のレイチェル・カーソン、人類学者のジェーン・グドール、宇宙飛行士のワレンチナ・テレシコワなどは日本でもおなじみだ。
理系に関心を持つ小中学生の娘さんがいるなら、本書をプレゼントするとパパの株が上がること間違いなし。
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