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恐るべし大谷翔平、まだ5割の力しか出していない

道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔

 米大リーグ・エンゼルスで活躍を続ける大谷翔平選手。春のオープン戦では調子が上がらず「通用するのか?」と一部では疑問視、不安視された「二刀流」も、開幕後は投打とも鋭い切れ味を見せている。ベーブ・ルースの伝説でしか「ツー・ウエー・プレーヤー(二刀流選手)」を知らない米国の野球ファンもすっかり魅了され「大谷マニア」も数多く現れているという。

 大谷選手はパワフルでダイナミックなプレーぶりと合わせ、ファンらとの交流、インタビューの応対などで伝わるナイスガイぶりで好感度を上げている。本書『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社)は、長期にわたり大谷選手を見守ってきた著者による伝記で、規格外のアスリートとしての成長ぶりを追いながらパーソナリティーが育まれた背景を探る。大リーグ入りは「挑戦」の過程で、大谷選手にはまだまだ伸び代が秘められているという。

岩手で育まれたパワーと人柄

 大谷選手の身長は193センチとされ、その体格は大リーグの選手のなかにあっても堂々としたものだ。ヤンキースの田中将大投手、カブスのダルビッシュ有投手らと背の高さはほとんど変わらないのだが、手足の長さか独特のスタイルによるものか、大谷選手はサイズ的により大きいような印象を与える。この恵まれた体格とアスリートとしての能力は遺伝も大きいようだ。

 父親の徹さんは社会人野球の三菱重工横浜(現三菱日立パワーシステムズ)でプレー。大谷選手と同じ右投左打で身長は182センチあった。ウリは脚力だったという。母親の加代子さんは同じ職場の実業団チームでバドミントン選手として活躍。夫妻は結婚してしばらくは横浜で過ごし、1993年に徹さんの故郷、岩手県に移り、その翌年に大谷選手が生まれた。兄と姉がいる3人兄弟の末っ子。加代子さんは身長170センチ、長男は187センチ、長女は168センチあるという。

 徹さんは横浜で過ごしながら「いずれは岩手に戻りたい」と考え、その時期を定年後とも計画したこともあったが、「いずれ戻るなら早い方がいい。早く岩手に帰って、しっかりした基盤を作った方がいいんじゃないか」と考え直し、30歳を前にしてUターンを決意したものだ。大谷選手にとっては、のちの野球指導者らとの出会いや、彼らが大谷選手を大きく育てようとする指導やケアぶりなどを知ると、岩手で誕生したことに運命的なものを感じる。

 大谷家の子育ても、岩手の環境があったことも大きいだろうが、子どもたちの自主性を重視し、ポイントに応じてうまく導いていくスタイルのよう。大谷選手が野球に取り組み始めた小学生時代、徹さんはその少年野球チームの監督で、中学生の時にはシニアリーグのチームで選手とコーチの関係だった。大谷選手の大成をみると、漫画の「巨人の星」的な二人三脚を想像するが、家では指導することなどはなく、大谷選手が自主的にする練習を見守る程度だったという。

「ちゃんとやらなきゃいけないという思いずっと」

 父と子の間の以心伝心なのか、子どもの忖度なのか。大谷選手は自らに奮起を促し試練の道を歩んだのだ。

 「僕が監督だったとしてもそうだと思いますが、同じくらいの子が自分の息子と同じ実力だったら、息子ではない違う子を試合で使わないといけないと思うんです。それは当たり前のことというか。だから、息子である自分が試合に出るためには圧倒的な実力がなければいけない。チームのみんなに納得してもらえる実力がなければいけない。まだ小さかったですけど、それは僕にもわかりました。だから、ちゃんとやらなきゃいけないという思いはずっと持ち続けていました」

 そして、仲間の選手より何倍も何十倍も練習したという。

 徹さんは「野球ノート」という交換日記のやり取りでケア。失敗があったときはどうすればそれを克服できるようになるかを考えさせるようにした。大谷選手がその日あった試合の反省を報告、徹さんがそれに対しアドバイス。大リーグに転じても変わらぬ冷静さ、判断のよさはこうしたことから養われたのだろうと想像させる。

 著者は岩手県生まれのスポーツライター。主に野球を題材にノンフィクション作品を数多く手がけ、大谷選手については、15歳だった花巻東高校時代から取材を続けている。取材を通じて大谷選手本人にはもちろん、家族らからも信頼されているようで、大谷家の茶の間などでも詳しく話を聞いている。

 著者は大谷選手が在籍した日本ハムの厚澤和幸コーチに、大谷選手と、かつて同球団でプレーしたダルビッシュ投手との比較を聞いている。両選手ともスーパーカー並みのパワーを備えているが、大谷選手については、その能力のうちの「50%しか発揮していない」という。100%近く出したときはどんな選手になっているのか。

  • 書名 道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔
  • 監修・編集・著者名佐々木亨 著
  • 出版社名扶桑社
  • 出版年月日2018年3月16日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数B6判・291ページ
  • ISBN9784594079017

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