読むべき本、見逃していない?

帰国子女なのに、英語が話せなくなっていた!

帰国子女―帰国の前に親子で読む本

 アメリカでは終業式のシーズンだ。そして長い夏休みが始まる。海外で学ぶ日本人の子供たちは、この機会に帰国し、日本の学校に戻るケースが少なくない。

 本書『帰国子女――帰国する前に親子で読む本』(南雲堂)はそうした親子向けのガイド本だ。

再び元のレベルに戻すことができない

 著者のチャールズ・カヌーセンさんはシアトル出身。日本で帰国子女向けの教育に携わっている。本書は20年にわたる経験をもとに、「痛切に感じていること」を記している。

 まず「迷信」を二つ。その1は「帰国子女は英語ができるので勉強しなくてもいい」。その誤りについて、こう記す。「8歳の帰国子女はネイティブレベルの英語力があるとしても、その話す力や読み書きの力は8歳のものでしかありません」。まだ子供としての英語力しかないわけだから、なお勉強が必要だというのは当然だろう。

 続いて第2の迷信、「帰国してからしばらくの間は日本語に集中して英語から離れても大丈夫。もし英語を少し忘れてしまっても、後から取り戻せる」。これもまた大いなる誤解だという。著者によれば、たとえ1、2か月でも英語を使わないと、子供の英語力は著しく低下しかねない。何か月も離れると、子どもの英語力は一気に衰え、再び元のレベルに戻すことができないと強調する。

毎日10分だけでも効果がある

 外務省や文科省の統計によれば、海外で親と暮らしながら学ぶ子どもは約7万人、帰国して日本の学校に戻る子は年間1万2千人ほどいる。案外少ないような気もするが、一定以上の階層では、その比率はぐんと増えるに違いない。有名大学や有名企業は帰国子女が少なくない。とりわけ目立つのが女子アナで、古くは田丸美寿々さんら帰国子女だらけだ。

 では帰国後も英語力を維持し、伸ばすにはどうすればいいのか。著者は毎日30分から45分の学習で十分だという。英語のテレビを見る、友人とのおしゃべり、LINEなども含まれる。毎日10分だけでも効果があるが、大事なのは継続性。できれば帰国前から習慣づけることが大事だと強調している。

 そういえば評者も大学生のころ、帰国子女の男子中学生の家庭教師をしたことがある。小学校時代に海外に3年もいて英語を話していたはずなのに、帰国後は完全に忘れてしまっていた。日本語も遅れ気味で成績はオール2。親も残念がっていたし、本人もつらそうだった。今から考えると、子ども任せにせず、親が帰国後に英語の勉強を強制する必要があったのだろう。類書は多々あるので、海外にいるときから親も予習し、対策を立てておくに越したことはない。

  • 書名 帰国子女―帰国の前に親子で読む本
  • 監修・編集・著者名チャールズ・カヌーセン(著)、彦坂メアリー(訳)
  • 出版社名南雲堂
  • 出版年月日2018年1月31日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数A5版・241ページ
  • ISBN9784523265672

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