読むべき本、見逃していない?

もう一度読みたい「時代ミステリー文庫」1位

影踏み鬼<新装版>

 本書『影踏み鬼<新装版>』(双葉社)は、04年3月に双葉社から刊行された文庫を加筆、訂正したもので、18年の「書店員が選んだもう一度読みたい文庫」<時代ミステリー部門>で第1位を獲得した。「書店員が選んだもう一度読みたい文庫」とは、全国に店舗を構えるTSUTAYAの書店員が、「今、本当にオススメしたい文庫」を厳選し、復刊するプロジェクト。

 本書は、江戸・東京の町を舞台にした本格ミステリー。老舗の呉服店を襲った、ひとり息子のかどわかし(誘拐)。身代金を用意するも、犯人は現れず、中身が鉛の板にすり替わっていたのはなぜか、若き狂言作者が謎に挑む(「影踏み鬼」)。人気役者が舞台上で台詞を間違え、客に大笑いされた翌日、自害した。本当に恥を苦にしての自害だったのか、黒子が真相を追う(「奈落闇恋乃道行」)。他に「血みどろ絵」「虫酸(むしず)」「藁屋の怪(わらやのかい)」の全5篇を収録。

 江戸から明治に至るまで、当時の情景を細やかに描写している。二転三転する展開、最後に読者を納得させながら進められる謎解き。短篇集でありながら、それぞれの作品が濃密に描かれていて、重みがある。その時代、その現場に居合わせたような臨場感がある。

 時代小説を読み慣れていない読者にとっては、独特な言い回し、見慣れない言葉が多く、登場人物の関係性も複雑で、ストーリー展開についていくのが多少困難かもしれない。2度読むことで、人間の業と情が入りまじる本書の世界を、前のめりになって楽しめるだろう。

 著者の翔田寛は、2000年「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞。選考委員に絶賛されたという。01年「奈落闇恋乃道行」が第54回日本推理作家協会賞・短編部門の候補となる。08年「誘拐児」で第54回江戸川乱歩賞を受賞。14年「墓石の呼ぶ声」が第67回日本推理作家協会賞・短編部門候補、15年刊行の『真犯人』が第19回大藪春彦賞候補となる。

BOOKウォッチ編集部 Yukako)
  • 書名 影踏み鬼<新装版>
  • 監修・編集・著者名翔田 寛 著
  • 出版社名株式会社双葉社
  • 出版年月日2018年1月14日
  • 定価本体583円+税
  • 判型・ページ数文庫判・270ページ
  • ISBN9784575520736

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