本書『きみに届け。はじまりの歌』(スターツ出版、2017年)は、累計24万部を突破した『僕は何度でも、きみに初めての恋をする』の著者・沖田円による最新作。「わたしらしさって、なんだろう」と迷いながら、自分の進む道を見つけていく女子高生・カンナの物語。物語は、著者の地元・愛知県安城市を舞台に繰り広げられ、著者の地元愛が滲み出ている。
カンナは、進学校で部員6人のボランティア部に所属する。ある日、3か月後に開催される地元名物・七夕まつりの活動をもって、廃部すると告げられる。最後に何か、10年先も記憶に残ることをしたいと、6人でバンドを結成し、七夕まつりのステージに立つことを決める。
カンナの歌声の魅力を知る幼馴染みのロクは、ボーカルに加えて、「カンナらしい詞を書けばいい」と作詞・作曲をカンナに任せる。しかし4年前、父親から「夢なんて見るな」と諭されたカンナは、歌手ではなく、父親の跡を継ぎ医者になることを決め、2度と人前で歌わないと誓った。それが今回、ステージに立つチャンスが舞い込み、蓋をして抑え込んでいた歌手になる夢が、再び躍動する。
物語に登場する「フタリゴト」というアプリは、自分のメッセージがたった1人のユーザーに届き、場合によって返事をもらえるというもの。自分探しを始めたカンナは、「フタリゴト」に悩みを打ち、送信する。メッセージが届いたのは、カンナより年上で、音楽を仕事にしていて、同じく自分らしさがわからず悩んでいる相手だった――。
「自分らしさ」や「夢」をテーマに、カンナの心の揺れや情熱を描いている。そうした経験は10、20代で済ませ、大人になれば誰もが納得した道を歩んでいるかと言えば、そうとも限らない。人生のどの地点でも、共通のテーマだろう。本書は、自分らしさとは何か?今の自分はベストを尽くしているか?と、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる。
著者・沖田円は、他に『一瞬の永遠を、きみと』『春となりを待つきみへ』『神様の願いごと』『真夜中プリズム』等のヒット作が続き、全著作累計57万部超えを記録(以上、スターツ出版)。本書の「あとがき」で、著者は「過去の自分に伝えたい。私は君の思い描いていた理想の未来の自分では全くもってないけれど、ちゃんと胸を張って立っているよ」と記している。
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