元国税調査官の著者、大村大次郎さんの本は『あらゆる領収書は経費で落とせる』(中公新書ラクレ)など、いつも注目してきた。制度の裏のウラまで知り尽くした人のお金のアドバイスだから説得力がある。という訳で新著の『やってはいけない老後対策』(小学館新書)もさっそく買い求めた。「老後資金は3000万円なくても大丈夫」という本の帯に勇気づけられながら。
大村さんの主張は明快だ。公的年金だけではやってゆけなくなるから、ありとあらゆる手段で節税した上で、「自分年金」を増やしてゆくしかないというのだ。
根拠となる数字を簡単におさらいすると、こうなる。夫婦二人世帯の老後の最低予想生活費は27万円、ゆとりがある生活を送るには34.9万円。一方、厚労省の夫婦二人モデル世帯の年金額は22万1227円だから、最低生活費だけでも5万円不足する(すべて1カ月当たり)。退職金や預金を取り崩すしかなくなる。さらに年金のマクロ経済スライドが今後も発動される可能性があり、年金の目減りを覚悟した方がいいという。
対策としてはまず生活のダウンサイジングを挙げ、次に確定拠出年金や個人年金を利用し節税することを勧める。定年退職者の場合、自分で会社をつくるメリットもいろいろ教えてくれる。自分の報酬を最低にして社会保険で得をするのが狙いだ。さらに経費で食費も落とせるという。個人事業主でいくか会社組織にするかの分岐点は売上1000万円だそうだ。
反対に、やってはいけないこととして挙げているのが、不動産投資、借金しての起業、フランチャイズ経営だ。
また、もっともやってはいけないのが老後離婚だという。双方の生活水準が下がるだけでなく、女性に分割されるのは厚生年金の比例報酬部分のみで、月数万円程度に過ぎない。
「おひとりさま」「賃貸生活」「公的年金頼み」「住宅ローン未完済」が、老後破綻するヤバイ要素だという。本書で紹介されている裏ワザを使い、自衛するようにしたいと思った。
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