4月から新生活が始まる社会人1年生向けのウェブサイトが数々設けられ、書店やネットのブックストアにもマニュアル本がそろえられている。本書『図解 仕事の基本 社会人1年生大全』(講談社)では「身だしなみ」に関するピンポイントから、電話やビジネス文書・メールのマナー、来客対応と他社訪問の心構え、さらには慶事や仏事での振る舞い、年末年始の挨拶にまでガイダンスは及ぶ。新社会人ばかりでなく、その先輩や、それ以上の年配社員にも役立ちそうだ。
著者の北條久美子さんは、企業の人事部で教育担当をした経験などを生かしてキャリアカウンセラーとして独立。ビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアアップなどについての研修やセミナーの講師などを務めている。近年は、仕事ばかりでなく自分らしい生き方も考えることを提案する「ライフスタイリスト」を名乗り活動している。
現代の若者たちはデジタルネイティブ世代からさらに進んで、スマートフォン世代、SNS世代といわれる。キーボードに不慣れで就職後のパソコン(PC)操作のために教室などに通う学生もいるという。本書ではとくに、メールやSNSを使ったコミュケーションに紙数を割いて、学生時代を同じような気軽な態度で扱うことはトラブルのもとになることを強調している。
たとえば仕事でLINEをどう使うか。取引先とは...使わないのがベター、利用することになったら24時間仕事の話が届くことを覚悟、IDの交換を断るときは「会社の規定で」などといおう――と慎重になることをアドバイス。上司や先輩とは...夜や週末には基本的に送らない、返事はスタンプだけじゃなく必ず文章を、謝罪では決して使わない、相手がしているからと自分もOKと思わぬこと――などなど。ビジネス面での使用も増えているLINEだが、ルールがまだ定着していないことに注意を促している。
キーボードが苦手な社会人1年生ではあってもオフィスのメーンのツールはPCであり、PCを使ったビジネスメールに習熟しなければならない。本書では見開きページにメールソフトの図解入りで「宛先」「送信者」「件名」「本文」「署名」など各部を説明。「BC」と「BCC」の使い分けに触れた囲みを配置し、インターネットが普及し始めたころのマニュアル本のようだ。
「返信ルール」「転送ルール」「添付ルール」の操作編、頻出フレーズ集、間違いやすい要注意フレーズ集、断る時、急ぎの時などケース別フレーズ紹介なども添えられ、手取り足取りの感。1年生ばかりでなくメールが苦手という中堅の人たちにとっても役に立ちそうだ。
KDDI1が3月1日は発表した「新社会人の不安と起床に関する意識調査」によると「仕事についていけるかどうか」について80%以上が「不安」と回答。調査は18年に新社会人となる男女と、10年以上社会人経験がある「ベテラン社会人」男女それぞれ400人ずつが対象に行われ、ベテラン社会人には「社会人になる直前」を思い出しながらの回答を求めた。「仕事」に「不安」を感じたことを思い出したベテラン社会人は59.3%だった。ほかに「人間関係」などについても尋ねたが、全体として新社会人のほうが昔の新社会人 (ベテラン社会人) に比べて不安度が高い傾向がみられた。
本書のような社会人生活のマニュアルに対するニーズも高まっているのだ。
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