昨年(2017年)のアイドル界最大の話題は、ジャニーズ事務所所属のSMAPの解散劇だったろう。誰が残り、誰が独立するのか、その帰趨に国民の眼が集まった。本書『テレビとジャニーズ』(発行blueprint、発売垣内出版)の著者太田省一さんは、東大大学院博士課程で社会学を修めた社会学者。『木村拓哉という生き方』『SMAPと平成ニッポン』などの著書をもつアイドル分析の第一人者でもある。
太田さんによると、彼らがバラエティーで成功したことが、SMAP以降のジャニーズグループの大きな目標の一つとなったという。
ジャニーズ事務所の創設は1962年。それからの55年の歴史をたどり、多くのグループの活動を分析している「テレビとジャニーズの55年史」が面白い。
歌番組、バラエティーだけではなく、スポーツ番組への進出(キャスターのパイオニアになったのがSMAPの中居正広)、さらにニュース番組への進出(嵐の櫻井翔やNEWSの小山慶一郎)と今や、歌って踊るだけのアイドルでは通用しない。アイドルとしての寿命、賞味期限が長くなったことがその背景にあるようだ。
グループとしての活動とともに、メンバーの個性を生かした「深掘り」が最近の特徴だという。料理、アニメ、DIYと趣味が芸になる時代なのだ。考えてみると、テレビの進化に対応してきたからこそ、ジャニーズグループがこれほどテレビを席巻しているのだろう。太田さんは今年(2018年)1月2日にTBSで放送された「クレイジージャーニー正月SP」に滝沢秀明が旅人として登場し、バヌアツの火山を探検したことに注目する。ジャニーズJr.の中核だった滝沢がなぜ、そんなマニアックな番組に出たのか? 「進化」への対応がその理由だろう。
冒頭のSMAPの話に戻ると、独立したメンバーはそれぞれ活躍の場を確保し、これからもテレビにも登場するようだ。ジャニーズのくびきを解かれた彼らがどんな活動をするのか、全国のジャニーズファンも注目しているだろう。
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