花見シーズンが間もなくとなり、それと前後して年度替わりをはさんでの歓送迎会も盛んになる。酒宴の機会が増える人も多いに違いない。健康志向が強まる近年は、酒好きの人たちも健康診断の数値などを気にして、もやっとした不安を感じながら酒席につく人も多いのではなかろうか。
しかしいざ飲み始めれば「控えめにしよう」などと誓った思いもどこへやら、気づかぬうちに杯を重ねることになる。本書『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)は「太らない、翌日に残らない、病気にならない」飲み方を教えてくれるという。
著者は国内外で日本酒イベントをプロデュースする一方、さまざまなメディアにコラムやエッセイなどを寄せる「アラフィフ」の酒ジャーナリスト。年齢を重ねてだんだん、健診の酒関連の数値が気にするようになっていたところで、本書執筆の機会がめぐってきたという。
「酒好きを代表して、酒飲みの率直な疑問や不安を専門家にぶつけてみようではないか。本書はそんな思いをもって書いた」ものだ。肝臓専門医を監修者に迎え、大学教授や開業医、医療機関の専門医のほか薬剤師など20人以上に取材し「いつまでも健康でおいしく飲める方法」をまとめている。
だけれども、お、そうか、じゃあ、これを読めば安心していくらでも飲めるな―などとは考えていけない。健康の観点からは飲酒は「リスク」であることにはかわりなく、本書では、それを最小限度に抑えて酒を楽しめる方法を提案している。
情報源は、いずれも健康と酒の関係の専門家。指摘されるリスクは半端ではない。「飲酒が『大腸がん』のリスクを上げるのは確実」「『膵炎』には一生断酒のリスクも」「飲酒は乳がんの発症リスクを高める」とか「飲み過ぎが男性ホルモンを減らす!?」「アルコールで脳が"縮む"」など、飲みながらじゃなきゃ読めないような指摘が続く。おまけに頼りのウコンも肝障害を招く可能性があるという。もう禁酒しか道はないのではとも考えてしまうが、左党の人たちはもちろんそんなにオドシに屈することはないであろう。
いつまでも楽しく飲めるようにするためにはまず、飲酒にはこうしたリスクがあるのを知ること。そして健康診断の結果などをみたうえで、控えるべきところは控えるなど調整を図るべきという。「太らない」「翌日に残らない」など短期的に酒の悪影響を避けるためには「適量」を守ることはもちろんだが、油を使ったものを先に食べるとか、キャベツや牛乳に意外な効果があることを紹介している。
酒がわれわれに及ぼすのはリスクばかりではもちろんない。本格焼酎が持つ血栓撃退パワーや、赤ワインの健康効果のほか、ビールが認知症予防に良いことなどが紹介されている。それらの効果はもちろん「適量」で発揮される。なお、ビールのアルツハイマー病予防の効果はノンアルでもOKという。
ほかに「水はすぐにお腹いっぱいになるのにビールはなぜたくさん飲める?」「『飛行機での飲酒はキケン』はホント?」「酔うと同じ話を繰り返すのはなぜ?」など、酒にまつわる疑問やあるある話を検証に紙数を充てており、これらは酒席でのコミュケーションツールになりそうだ。
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