読むべき本、見逃していない?

もしも江戸時代にノーベル賞があったなら...

  • 書名 江戸時代のハイテク・イノベーター列伝
  • 監修・編集・著者名NPO法人テクノ未来塾、出川通(編・著)
  • 出版社名言視舎
  • 出版年月日2017年11月30日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数A5判・219ページ
  • ISBN9784865651096

 江戸から明治へのスムーズな移行と、その後の日本の爆発的な発展は、江戸時代に蓄えた「ストック」が後押ししたといわれる。その証拠としてしばしば語られるのは、幕末から明治初期の万博だ。まだ文明開化の前だったが、日本からの出品物は技術力、文化力の高さで西欧の人々を驚かせ、ジャポニズム=日本ブームのきっかけになったという。

 本書『江戸時代のハイテク・イノベーター』(言視舎)は、江戸時代に主に独自の研究で、高いレベルの技術開発や発見を成功していた「先駆的イノベーター」を紹介したものだ。

 「土木・数学・天文・暦・地理」「生物・本草・植物・医学」など4つのジャンルの24人が登場する。あまりにも有名な関孝和、伊能忠敬、青木昆陽、平賀源内、二宮忠八などのほかに初めて目にする名前も少なくない。それだけ特定の分野で画期的な仕事をした人が少なくなかったということだろう。

 一般に江戸時代は鎖国で海外情報が遮断されていたと思われがちだが、よく知られているように、長崎ではオランダや中国との窓が開かれていた。朝鮮通信使との交流もあった。江戸でも新井白石など一部の学者は海外に目を向けていた。八代将軍の吉宗の時代になると、蘭学研究が命じられ、洋書輸入も一部解禁されていたという。蘭学者は次々に私塾で教えるようになり、向学心がある若者は、それなりに新しい知識を知ることができたようだ。シーボルトの果たした役割も大きい。

 しかしながら、そうした新知識の到来は、あくまで限定的なもので、本書によれば、かなり断片的な資料や情報から、日本側が独自に考えなければならないことが多かったという。そういう制約の中で江戸時代のイノベーターたちは独自のアイデアをもとに工夫を重ね、平賀源内の「エレキテル」などは、当時の世界レベルで比較しても、相当に優れており、「発明」といえるほどのものだったという。日本人ノーベル賞の原点に位置する人かもしれない。

 本書は企業で技術者として働いている人たちがそれぞれの見聞などを広げるために始めた「NPOテクノ未来塾」の活動から生まれた。日本の技術の歴史をたどる中で、明治の産業遺産などの前に江戸の技術があることを再認識し、ゆかりの場所なども訪ね、先駆者たちの姿を分かりやすく知るためのガイドブックとしてまとめた。写真や図も豊富に掲載されている。理系だけでなく文系の人にも新鮮な発見がある本だ。巻末に執筆を担当した15人のプロフィールが紹介されている。

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