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ドッペルゲンガーのような2人が探偵役

オーパーツ 死を招く至宝

 本書『オーパーツ 死を招く至宝』(宝島社)は、第16回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作だ。タイトルの「オーパーツ」とは「Out Of Place ARTifactS」、つまり「場違いな工芸品」のことである。当時の技術や知識では制作不可能なはずの古代の工芸品などを意味し、ナスカの地上絵、イースター島の人面石像などがその例として挙げられる。

 貧乏大学生・鳳水月(おおとりすいげつ)の前に、瓜二つな男・古城深夜(こじょうしんや)が現れる。同級生の古城は「オーパーツ鑑定士」だと自称する。水晶の髑髏に囲まれた考古学者の遺体、夫婦の死体と密室から消えた黄金のシャトル......二人のコンビはさまざまな事件現場に立ち会う。さてうまく解決できるのか。

 4つの事件から構成されているが、いずれも物理トリックが用いられている。瓜二つな二人のやりとりは掛け合い漫才のようで、テンポよくストーリーは展開する。古城のオーパーツにかんするうんちくが面白い。

 著者の蒼井碧さんは、1992年ドイツ生まれ。上智大学法学部卒で現在はリース会社に勤務。独学で世界遺産について学び、世界遺産検定2級を取った。オーパーツを扱った本格ミステリーがあまりないことに気づき、執筆を思い立ったという。

 4つの事件の舞台となるオーパーツに関連はなく、独立したお話かと思っていたら、最後に壮大なオチが待っていた。二人の主人公が瓜二つと設定されたのは、必然性があったのだ。「場違いな工芸品をあるべき場所へと還す」「一人では決して立ち向かえない相手でも、二人でならきっと鑑定できる」

 ドッペルゲンガーのような2人を主人公にしたシリーズ化も期待できそうだ。(BOOKウォッチ編集部)

  • 書名 オーパーツ 死を招く至宝
  • 監修・編集・著者名蒼井碧 著
  • 出版社名宝島社
  • 出版年月日2018年1月18日
  • 定価本体1380円+税
  • 判型・ページ数四六判・309ページ
  • ISBN9784800279361

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