主人公は、4歳の雄猫アルフィー。飼い主を亡くした。心底理解しあえた唯一の人間だった・・・。その一年前、姉さん猫が天国に行ってしまい、立ち直れないほど悲しんだというのに、またも残酷な現実がアルフィーを襲った。
保護施設に入れられる前に、アルフィーはこっそり家を出て、未知の世界へ飛び込む覚悟を決める。しかし、涙と恐怖の野良猫生活の中で心身が消耗していく。このままではだめだ・・・。仕方なく、「ぼくはりっぱな"通い猫"になろう」と決意する。
「一途な飼い主を一途に慕う猫になりたいのはやまやまだけれど、それではあまりに危なっかしい。もうひとりぼっちには耐えられない」
アルフィーが選ぶ4軒の家は、それぞれ問題を抱え、寂しさが漂っている。アルフィーは4軒の家の"通い猫"として、住人を観察し、何とか問題解決できないかと猫目線で考える。悪い者が現れれば「シャーッ」と威嚇し、嬉しい時は脚に体をこすりつけて最大限の愛情を伝える。
「人間は、猫は自分勝手で我儘だと非難するけれど、事実は程遠いことが多い。ぼくは助けを求めている相手の力になりたいタイプの猫だ」
「猫のわりに心配性なのは自覚しているけれど、それは過去の影響だ。自分が味わったような悲しみを抱えている人間を、助けずにいられない。その衝動はとても強く、できることはなんでもしてあげたい」
「それぞれがそれぞれのかたちでぼくを必要としていて、ぼくは毎日そばで支えて力になろうと決意を固めずにいられなかった。苦境を乗り越えたぼくが、今度はみんなが苦境を乗り越えられるように力になるのだ」
使命感があり、誇り高く、情が深い。小さな体に、飼い主への愛情が溢れている。猫好きでなくても、必ずアルフィーを好きになるだろう。
人間を幸せにしようと頑張るアルフィーを、もっと見守っていたくなる。本書はシリーズ第1話で、10刷の大ヒットを記録した。第2話『通い猫アルフィーのはつ恋』、第3話『通い猫アルフィーとジョージ』も出版されているので、シリーズ全てをチェックしたい。
著者のレイチェル・ウェルズは、愛猫家。20代はロンドンでマーケティングの仕事に就き、保護されたおじいさん猫のアルバートと狭いアパートで暮らしていた。出産後に故郷に戻る。本書(原題"Alfie the Doorstep Cat")は、執筆への夢を抱き続けてきた著者が初めて世に出した作品だ。
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