男女混合(ミックス)ダブルスは、男性1人・女性1人のペア同士が争う卓球の種目の1つ。2020年開催の東京オリンピックの追加種目に採用されるなど、いま大注目の種目だ。
主人公の富田多満子は、卓球の元天才少女である。スパルタだった母の死をきっかけに卓球をやめて15年、アウェイな人生を送ってきた。仕事も恋もパッとせず、10年以上勤めた会社を同僚との失恋で辞めた。そんなある日、父の経営する卓球クラブのコーチを頼まれたことで、15年間封印していた卓球と再び向き合うことになる。
悔やみたくない、もっと上を目指したい。クラブのメンバー6人全員が同じ志を持ち、全日本選手権の県予選出場を目標に掲げ、切磋琢磨する日々。多満子は時に、15年のブランクを悔やむ。卓球から逃げ、人生からも逃げ、気づけばアラサーの現実に落胆する。
それでも卓球が楽しくてたまらない、メンバーの技術が向上していくのがうれしい。天才少女の頃は経験したことのない気持ちを味わうようになっていく。過去を悔やむことがあったとしても、人生に無駄な時は一瞬もない。多満子は卓球をとおして、メンバーとの一体感の中で、再び輝きを取り戻していく。
本書は、映画『ミックス。』の古沢良太氏による脚本を元に、山本幸久氏がアレンジを加えて小説化したもので、卓球の球の動きのようにテンポが良い。多満子の心の声に、共感したり思わず吹き出したり。多満子とペアを組む萩原久をはじめとするメンバーも、個性的だ。
古沢良太氏は、2002年『アシ!』で第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞し、デビュー。代表作は『キサラギ』、『ALWAYS 3丁目の夕日』『相棒』『リーガル・ハイ』の各シリーズなど。山本幸久氏は、2003年『笑う招き猫』で第16回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。著書は『ある日、アヒルバス』、『芸者でGO!』など。
今年10月に公開された映画(監督・石川淳一 主演・新垣結衣、瑛太)は、ヒットメーカー・古沢良太氏とオールスターキャストで贈る話題作である。躍動感ある小説とともに、ぜひ映像でも楽しみたい作品だ。
(BOOKウォッチ編集部 YT)
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