新聞社のワシントン特派員といえば花形のエリートコースと思われるだろう。それは事実だが、生半可ではない激務と競争が待っている。日本人記者同士の競争に勝っても、米国の権力機構とメディアに認められなければ、本当のいい仕事はできない。著者の尾形聡彦氏は最近では、政府高官を囲む内輪(インナーサークル)での裏取材が認められた唯一の日本人記者といわれる。
オバマ大統領はなぜ広島に来たのか、そしてあの格調高いスピーチをしたのか。トランプ大統領とメディアの亀裂は本当なのか。トランプのロシア疑惑と大統領弾劾の行方はどうなるのか。政府高官への取材に裏打ちされた自信が、クリアーな見方となって書かれている。
本筋のトランプ政権の行方がどうなるかという話も面白いが、サイドストーリーである著者の「食い込み」はどうやって可能になったかという話ががぜん興味深い。「世界最強組織」の扉はいかにして開いたのか? 英語力だけではないのは確かだ。
著者の現在の肩書きは、朝日新聞オピニオン編集部次長兼機動特派員。せっかくホワイトハウスに食い込んだ記者をむだに日本で使いつぶすのはもったいないとばかりに、朝日新聞がとった人事で、「機動特派員」として再度ワシントン取材もしている。評者の渡辺靖・慶応義塾大学環境情報学部教授は、「ホワイトハウスを揺るがすスクープが日本人記者によって発せられる日を期待したい」と書いている。
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