累計15万部を誇る『名画は嘘をつく』シリーズの第3弾だ。今回は『名画の本音』。歴史的な名画の裏話、知りたくありませんか?と言うキャッチコピーが付いている。ゴッホ、ルノワール、レオナルド、ピカソ、ゴーギャン、レンブラント、ルーベンスなどを取り上げている。
「タイトルの誤解」「モデルのトリック」「景観の秘密」など、10章に分けて名画に秘められた謎を解いている。いくつかを紹介すると――。
ゴーギャンが描く「タヒチの三人」は、単に南洋の人を描いたのではない。そこには「キリスト教の世界」が深く投影している。登場する女性のうち1人は果物を持ち、もう一人は花を持つ。果物は誘惑、花は美徳の象徴である。この作品は、エデンの園における「誘惑」の物語を、舞台をタヒチに替えて描いたものだ。
ロシア・トレチャコフ美術館の至宝、「見知らぬ女」。高価な毛皮のコートと帽子を身に着け、見下ろすようなポーズをとるモデルは誰なのか。社交界の花形のようだが、王侯貴族ではない。実は、持って生まれた美貌で脚光を浴びた、ロシア版の「椿姫」、すなわち「夜の女」なのだ。
ゴヤの名作「裸体のマハ」と「着衣のマハ」。先に描かれたのはどっちか。ふつうは「着衣」が先と思われがちだが、所有者の財産目録によると、「裸」の方が先だった。
このような、西洋名画をめぐる「トリビア」が次々と明かされる。カラー写真が125点も付いており、見やすい。シリーズの第一弾、第二弾も併せて読むと、さらに様々な作品の秘密やエピソードを知ることができる。この種の知識は、専門的な美術史、図像学、図像解釈学の本などでも知ることができるが、素人には難しすぎる。本シリーズは手ごろな入門書といえるだろう。
著者の木村泰司さんは1966年生まれ。米国カリフォルニア大学バークレー校で美術史学士号を修めた後、 ロンドンサザビーズの美術教養講座にてWORKS OF ART 修了。西洋美術史をテーマに多数の著作がある。
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