主人公渋谷賢雄は沖縄の青年で、日本と中国の間で起こった武力衝突に義勇軍として参加し、生き残った。その後かつての仲間たちと再会するが、原発テロ計画をめぐる国際的な謀略に巻き込まれていく。
アクションはスピーディーで、登場人物は暴力や性欲に快楽を見出す。その過激な描写は大藪春彦を思わせる。かつて大藪春彦が『野獣死すべし』でさっそうと登場したとき、主人公の伊達邦彦は中国大陸からの引揚者と設定され、戦後の日本社会への違和感がそのモチーフにあった。大藪自身も引揚者だった。著者の神野オキナは沖縄在住のライトノベルの中堅作家で、一般文芸書は本作が初めてという。
沖縄と本土に引き裂かれた主人公の造形は、どこか大藪作品の主人公を思わせる。評者の前島賢氏は「日本の内側でもなく、完全に外側でもない、という視点は、そんな著者だからこそ書けたものだろう」と評している。
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