2013年の全国学力テストでは、保護者調査が合わせて行われたが、それらの結果をクロスさせてみると、親の年収や学歴が高いほど子どもの学力が高かった。経済的に余裕がある家庭なら、子どもを学習塾に通わせたりできるから―と、このことを聞いた人のほとんどはそう考えるだろう。本書はそうした格差の是正を訴えている。
著者は「格差研究の第一人者」とされる経済学者。『格差社会』や『学歴格差の経済学』『教育と格差』『日本の教育格差』など、格差についての著作が多数ある。
本書では格差社会の影響は、子どもが受ける教育にも及んでいることを指摘。家庭での貧富の差が「学校教育をどれだけ受けることができるのか」ということを左右するばかりか、塾などの学校外教育を考えれば「格差はもっと大きい可能性がある」
こうした格差の背景には、子どもの教育は家庭が担うべきという考えが強く、公共的な負担を求める発想がみられない国内事情があるという。教育を家庭任せにしておけば、塾に通う子どもと、家庭の経済状況から通えない子どもとの教育的格差は広がるばかりと訴える。格差は現状でも深刻として、さまざまなデータやシミュレーションをエビデンスとして提示。週刊ダイヤモンド(2017年9月23日号)のブックレビューで「目利きのお気に入り」として本書を選んだ評者の三省堂書店岐阜店店長、渡邊大介さんは、それらについて「興味深かった」と述べている。
著者は、子どもの間の教育の格差を是正するためには、公共部門から教育費支出増により「国民全員に平等な教育機会を与えるべき」と訴え、容易ではないとしながら、果敢に学校教育の改革を論じる。公立の学校をめぐっては近年、教員の"質"がとりざたされることがしばしばあり、また、教員の長時間労働の解消が急務とされており、さらに改革が必要だ。
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