本を知る。本で知る。

「澁澤龍彦」は生きている

書評掲載元:サンデー毎日 2017年8月13日号

極楽鳥とカタツムリ

 澁を渋、澤を沢、龍を竜と書いてはいけない――そんなこだわりと美学、偏愛を名前の表記でも感じさせた仏文学者・澁澤龍彦の今年は没後30年。ということで、さまざまな企画が催され、ブックフェアもあいついでいる。

 東京・世田谷美術館で開かれた連続講座は20代から年配層までの来場者で満席だったそうだ。7月に神田駿河台の山の上ホテルで開かれた没後30年の会も大盛況。出席者の半分は、生前の澁澤を知らない人だったという。

 「サンデー毎日」の2017年8月13日号で最新刊『極楽鳥とカタツムリ』が紹介されている。これは、河出書房新社の編集部が澁澤のエッセイから「動物の博物館」というテーマで選んだ究極のオリジナル・アンソロジー。獏や犀から、鳥、魚、貝、昆虫まで、動物をめぐる奇妙な物語を集めている。『高丘親王航海記』からの2篇など珠玉の28篇を収録、カバーの装画は安野モヨコさんが描き下ろしている。

 同社によると、澁澤の没後、澁澤龍彦全集と澁澤龍彦翻訳全集をはじめ、数多くの澁澤文庫を刊行。文庫はすでに68点、さらに、マルキド・サドの翻訳文庫8点と、『さかしま』などの翻訳文庫も入れると、80点を超えるそうだ。

 長髪にサングラスがトレードマーク(普通のメガネの時もあるが)。知的で白皙の美形だった澁澤ゆえか、最近では若い女性ファンも増えているという。「没後30年」というが、作品は脈々と生き続けている。

  • 書名 極楽鳥とカタツムリ
  • 監修・編集・著者名澁澤龍彦 著
  • 出版社名河出書房新社
  • 出版年月日2017年7月 6日
  • 定価本体880円+税
  • 判型・ページ数文庫判・304ページ
  • ISBN9784309415468
 

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?