読むべき本、見逃していない?

エロ文化の灯は消えず こんなところにこんな店が!

書評掲載元:新潮45 8月号 書評

全国版 あの日のエロ本自販機探訪記

 

 今年定年を迎えるアラ還世代の男性にとって、「エロ本自販機」は消してしまいたい忌まわしい青春の記憶のシンボルのようなものだ。著者の黒沢さんもまた1957年生まれ。編集者やライターとして、昭和のサブカルチャーを掘り起こす著作をいくつも手掛けてきた。深夜ドライブの延長から始まったエロ本自販機を探訪する旅は、全国におよび、349地点の物件を取材。写真とコメントでそれらを紹介したのが本書だ。

 

 1970年代半ばに登場したエロ本自販機だが、裏本やビデオの登場により、80年代半ばにはブームが終わった。20代にライターとしてかかわった黒沢さんも自販機から遠ざかっていた。ところが、80年代後半から第二の山が訪れていたという。その現場の多くは都市ではなく、地方の郊外の街道沿いにあった。

 

 うらびれた廃屋のような建物だったり、一見用途が不明な建物だったり、その自販機が置いてある場所には、全国共通の「匂い」があるようだ。300ページを超える分厚い写真集のような本でもある。通読すると、胸がつまってくる。ネット時代とはいえ、こうした場所に出入りすることでしか、「性」にアクセスすることが出来ない人たちが今もいて、かなりの需要があるということだ。

 

 全国と書いたが、実は著者がエロ本自販機の存在を確認できなかった道府県は、北海道、千葉県、和歌山県、京都府、滋賀県、兵庫県、島根県、鳥取県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、沖縄県とかなりの数にのぼる。取材中にも二桁もの自販機が撤去されたという。

 

 評者の鈴木裕也氏(ライター)は「ジャーナリスティックな書き手なら絶対に手をつけないテーマかもしれないが、本書はまぎれもないノンフィクションの労作である」と評価する。「著者と同世代の私も、このエロ文化はなくならないでほしいと思いつつ読んだ」とも。

  • 書名 全国版 あの日のエロ本自販機探訪記
  • 監修・編集・著者名黒沢哲哉 著
  • 出版社名双葉社
  • 出版年月日2017年4月23日
  • 定価本体2200円+税
  • 判型・ページ数四六判・319ページ
  • ISBN9784575312256

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