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「わたしはわたしのじんせいを どうどうといきる」  詩集『いきていてこそ』に反響

いきていてこそ

 サンマーク出版と言えば、400万部を超えた大ヒット『脳内革命』や、近藤麻理恵さんの『片づけの魔法』シリーズなどで有名だ。
 『病気にならない生き方』もミリオンセラーだったはず。『千円札は拾うな。』など、電車内にベタベタ貼られた刺激的な書籍広告でもおなじみだ。

アマゾンの詩集部門トップ

 そんなベストセラー狙いで勇名をとどろかすサンマークから、地味だが、心温まる詩集が出た。『いきていてこそ』。著者の堀江菜穂子さんは22歳、脳性まひで寝たきり。手足はほとんど動かず、言葉は話せない。6月の発売だが、7月末現在、アマゾンの詩集部門ではトップに躍り出ている。
 詩集には54編の詩が収録されている。そのひとつ、「せかいのなかで」という詩を紹介すると――。

 このひろいせかいのなかで
 わたしはたったひとり
 たくさんの人のなかで
 わたしとおなじ人げんは
 ひとりもいない
 わたしはわたしだけ
 それがどんなに ふじゆうだとしても
 わたしのかわりは だれもいないのだから
 わたしはわたしのじんせいを
 どうどうといきる

「心をかいほうするためのしゅだん」

 7月28日には朝日新聞生活面(東京本社版)のトップで紹介された。それによると、堀江さんは中学時代から、わずかに動かせる手を使って筆談を練習。ボランティアの手を借りて、ノートに詩を書きためてきた。
 脳性まひでしゃべれないから、何も考えてないのではないか――。周囲からそんなふうに思われていると感じていた堀江さんにとって、詩は「心をかいほうするためのしゅだん」だった。これまでに2000作品を書いているというから驚きだ。
 この記事を読んで、堀江さんとボランティアの物語を、ぜひともNHKなどのドキュメンタリーでつくってもらいたいものだと思った。
 通勤電車の中では、週刊誌が毎日のようにどぎつい話題を伝える。政治家のウソや不祥事、タレントの離婚や不倫、ゴタゴタ・・・。あまりにも情けない日本の姿に気が滅入る。サンマーク出版にはぜひとも、堀江さんの詩を、得意の電車内のワッペン広告で告知してもらいたい。心を洗われる乗客も多いのではないか。

  • 書名 いきていてこそ
  • 監修・編集・著者名堀江 菜穂子  著
  • 出版社名サンマーク出版
  • 出版年月日2017年6月20日
  • 定価本体1200円 + 税
  • 判型・ページ数四六変型判・上製・135ページ
  • ISBN9784763136190
  • CコードC0095
 

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