「鳥取の小さな珈琲屋さんがネットショップだけで年商20億を実現し、1番になった舞台裏」――本書の帯にそんな惹句が付いている。 この一文の中で、特に気になるのはどの部分だろうか。鳥取? 小さな珈琲屋さん? ネットショップ? 年商20億?・・・。
本書の内容は、この惹句の通り、「鳥取の小さな珈琲屋さん」が「ネットショップだけ」で、「年商20億を実現」したという成功物語である。
店を始めたのは著者・澤井理憲さんの両親。1982年のことだ。それまで父は大手バス会社の経理担当、母は日立の系列会社でコンピューターのプログラマーをしていた。「いつか二人でお店をやりたい」と考えていた二人が、脱サラして、鳥取県米子市に珈琲豆の店を始めたのがルーツだ。
当初は卸売り専門だった。しかし、思うように売り上げが伸びない。だったら卸値で小売りをしようと、一般にも売り始めた。バーゲンセールのチラシが反響を呼んで、何とか店は軌道に乗り出す。
著者は1975年生まれ。地元の商業高校を出て、名古屋の大学に進むが中退。故郷に戻り、鳥取店の店長になる。店の二代目と言えば聞こえはいいが、スタートは惨憺たるものだった。出勤初日、開店後1時間たっても3人いるはずの店員が誰も出勤してこない。そろって辞めてしまったのだ。
挫折を乗り越え、なぜ「年商20億」を達成できたのか。秘密は「ネットショップ」にある。
本書に何度も登場する横文字は「EC」だ。 electronic commerce、電子商取引の略称。いわゆるネット販売である。
2002年、たまたま「月商100万円を楽天市場で達成しませんか」という広告を目にしたのがきっかけだった。ちょうど地元にライバル店ができて売り上げが低迷していた。テレビゲーム好きだった著者は、「面白そう」と思ってパソコンに向かう。ネットもホームページ作りも独学。平均睡眠時間は3~4時間。もちろん成果はすぐには出ない。注文は、「自分で入れた1件だけ」と言う日々が続く。2年間ほどは鳴かず飛ばずだった。
その後の紆余曲折は、本書にたっぷりつづられている。06年度、楽天のショップ・オブ・ザ・イヤーで部門賞を受賞したのを皮切りに、とんとん拍子。いまや、全国にその名をとどろかす。16年10月には、なんと東京銀座の一等地にも店を構えるまで大躍進した。
「鳥取」、「小さな珈琲屋さん」は、他の地域や業種で置き換えることもできるだろう。だが、「年商20億」を達成するには、どうしても「ネットショップ」が不可欠だ。
もうお分かりだろう。本書は、「ネットショップ」でいかにして成功できたか、そのノウハウを開陳した本なのだ。
「30万店の中から見つけてもらう『広告戦略』」
「読んでもらえる『メルマガ』の書き方」
などのハウツーがたっぷり紹介されている。加えて、商品自体の差別化や質を高めることにも相当のエネルギーを使ったことがわかる。ネットショップをやっているが、売れなくて悩んでいる人にとって、役に立つこと間違いない。
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