著者の城山真一さんは、新進の作家、作家志望者らの作品を対象にした宝島社の「『このミステリーがすごい! 』大賞」で2015年に「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」で大賞を受賞。その主人公、二礼茜が今度は、内閣金融局"特命係"として、企業救済のミッションを託される。
茜の本書でのポジションは、同局の秘密部門、通称SII(エスツー)に所属する国家公務員。前作で"相棒"だった百瀬良太も再登場し、トレーディングンのアシスタントを務め物語の進行役を担う。
SIIは、経営危機に直面した企業からの依頼を受け「株取引の天才」である茜らを派遣。茜は、依頼人のもっとも大切なものと引き換えに、その場で設けたディーリングルームでデイトレードにより資金作りに努める。
メーンの舞台は、新薬開発を行うバイオベンチャー。インサイダー事件に巻き込まれ、出資元の企業から資金引き揚げの宣告が届く。さらには会社を先導していた取締役が怪しい振る舞いをみせるようになった。生き残りのための最後の切り札となった茜の資金作り。しかしヘッジファンドが操る超高速取引が立ちふさがり、危機は深まる一方に。茜は超高速のスキにできる「瞬間」に勝負をかけた...。
金融や証券市場のことが分からなくても、茜のトレーディングがガイドになり、市場の最前線のスリルを味わえる。実在の人物をモデルにしたと思われる実業家らを登場。実際のできごととオーバーラップして、アレってもしかするとこうだったのかもしれない...などと想像力を刺激する仕掛けもある。
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