本を知る。本で知る。

「金融リテラシー」を身に付けよう

おカネとどう向き合うか

低金利時代。銀行や郵便局にお金を預けていても、ちっとも増えない。どうすればいいか。やっぱり「投資」に手を出すしかないか。そんな思いの人は少なくないだろう。
しかしながら「投資」にはリスクがつきもの。生半可な知識では痛い目にあいそうだ。始める前に勉強しておかないと――本書はそんな「投資初心者」向けに、お金をめぐるイロハを教えてくれる。サブタイトルに「お金の学校」とある。学生時代、経済やお金についてちゃんと学んでこなかった人向けの、格好の入門書でもある。

「正しい判断」をする能力が必要

著者はまず、「リテラシー」を説く。一般にリテラシーは読み書きの能力のこと、最近では特定分野についての知識を指すことが多い。マスコミやネットが報じるさまざまな情報について「正しい判断」をする能力を意味する。
著者が強調するのは「金融リテラシー」だ。要するにお金や経済についての基本知識。それがないと、たしかに判断がつかない。積極的に投資して金融資産を増やそうとする人には「攻め」の、資産維持を主とする人には「守り」の金融リテラシーが必要だという。
ただし著者は「カネ儲けの秘訣」を教えるわけではない。著者がこだわるのは「お金をめぐる社会の仕組み」「投資を含めておカネとの上手な付き合い方」を教え、学ぶことだ。
「学校」と銘打っているように、「第1学期」は「お金とは何か」、「第2学期」は「おカネとの付き合い方(稼ぎ方や使い方)」、第3学期には「証券、特に株式への投資」を中心に学ぶ。「夏期講習」は政府債務問題、「冬期講習」では株式会社についての特別授業がある。

落ち着いて経済について学ぶ

本書のユニークさは、多数の「参考文献」にある。この種の入門書では、参考文献がつくこと自体が珍しく、付いても経済書だらけというのが普通だろう。ところが巻末の参考文献は数が多いだけでなく、意外なタイトルも並ぶ。
まず、歴史学者の網野善彦氏の名著『日本の歴史をよみなおす』が出てきて度肝を抜かれる。哲学者の内山節氏の『貨幣の思想史』なども意外性がある。フランス現代思想の研究者として知られた今村仁司氏の『貨幣とは何だろうか』なども目を引く。要するに、視野を広く持って、落ち着いて経済について学ぶことが大切だと語りかけているのだ。
著者の高橋元氏は経営学博士。日興リサーチセンター主任研究員などを経て2010年から経済金融社会研究所代表を務める。多数の大学や大学院で教えており、授業計画のように緻密な学期ごとの「シラバス(学習計画)」と、豊富な参考文献は、そうした教育現場の経験が生かされているのだろう。
目先の「投資」に惑わされることなく、まずは一度、本書を手に取り、じっくり付き合うことで「金融リテラシー」の基礎を固める。カネ儲けについて考えるのは、それからにしよう――そう思わせる本だ。

  • 書名 おカネとどう向き合うか
  • サブタイトル金融リテラシーを身に付ける「おカネの学校」
  • 監修・編集・著者名髙橋 元  著
  • 出版社名一般社団法人金融財政事情研究会
  • 出版年月日2017年3月13日
  • 定価本体2,400円+税
  • 判型・ページ数四六判・並製・380ページ
  • ISBN9784322130522
 

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?