最近、東京都内や首都圏の地域格差をテーマにした本の出版が相次いでいる。「足立区は~」「港区は~」という「区」を切り口にしたものが目立つ。本書は東京の鉄道路線を中心に統計データをもとにさまざまな分析をする「首都圏鉄道路線研究会」が『沿線格差』として刊行した前著の続編で、沿線からさらに進んで「駅」そのものに着目したものである。人々は「駅で場所を認識しており、それを共通語のようにして使っている」という考えから駅に特化した分析を試みたという。
たとえば、この30年で逆転した駅の「序列」の項では、乗車人員の増加率で品川駅と秋葉原駅の200%台の大きな伸びを紹介している。逆に上野駅はほとんど横ばいで、相対的な序列は下がったとしている。
「対決ライバル駅」の項では、「北千住vs赤羽」「国分寺vs調布」など地元に住む人なら、見過ごせないデータが紹介されている。
「家賃も安い近郊・郊外穴場駅」として、取り上げているのが千葉県市川市にある本八幡駅だ。京成本線、JR総武線、都営新宿線の3路線を利用でき、ワンルームの家賃も6万円と手ごろだという。神奈川県では、リニア中央新幹線の新駅ができる橋本駅、相鉄線と東急東横線が直通する予定の海老名駅(小田急小田原線、JR相模線、相鉄本線)の利便性に注目している。
巻末には『下流社会』の著者で、都市分析の専門家である三浦展氏のインタビューも掲載した。「明暗が分かれた所沢と川越」「下北沢の凋落と三軒茶屋の人気上昇」「高卒正社員女性が好む北千住、インテリ女性に好まれる西荻窪」など興味深い指摘も。
最後にクイズをひとつ。「Q 山手線29駅でワンルームの家賃相場が一番高い駅は?」 答えは「渋谷駅の12.67万円」。楽しみながら駅と首都圏の街についての雑学を学ぶことができる。(BOOKウォッチ編集部 JW)
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