この本が全国の地方自治体に与えた影響ははかりしれない。まず一部が、増田レポートとして、「中央公論」2013年12月号に発表され、衝撃を与えた。このままでは「全国で896の市町村が消滅する」と、人口データをもとに予測したのだ(本の帯のキャッチフレーズにもなっている)。
基礎データとして重視されたのが20~39歳までの「若年女性人口」。これが減り続ける限り、人口の「再生産力」は低下し続け、総人口の減少はとまらない。この「若年女性人口」が2010年から2040年までの30年間に5割以下に減少すると推計されたのが、全国に896あり、実に全自治体の約5割にあたるのだ。地方にとどまらず、東京圏でも28%もの自治体があてはまった。
このうち2040年時点で人口が1万人を切るのが523市町村あり、これらが「消滅可能性が高い」とされた。
増田レポートが出てから、地方での生き残り戦略が熱をもって語られ、各自治体は本気になって動き出した。本書でも石川県川北町(産業誘致型)、秋田県大潟村(産業開発型)などいくつかのモデルが紹介されている。
また、「人口は減るけれども、持続はする」と開き直ったような自治体もその後出てきた。
そうしたさまざまな議論の原点になったのが本書である。書籍化にあたって藻谷浩介氏(日本総合研究所主任研究員)との対話篇「やがて東京も収縮し、日本は破綻する」も収められた。増田氏は元岩手県知事。昨年、東京都知事選に立候補し、落選したが、いま読み返しても本書の価値は変わらない。(ブックウオッチ編集部JW)
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