本を知る。本で知る。

時間管理のスペシャリストが、効率のいい仕事の進め方を教えてくれます。

 著者は日本タイムマネジメント普及協会理事長。英国で開発されたセルフマネジメント手法「Aタイム」を日本に導入した実績をもちます。そんな著者がホワイトカラーの生産性向上のために筆をとったのが本書です。
 たとえば、ジョブローテーション。3年くらいを目途に部署や職場を変える制度は、多くの企業が採用しています。経営学でいう「衛生理論」で、仕事のマンネリ化を防ぎ、生産性の向上に寄与するといわれてきました。しかし、安易なジョブローテーションは、各人がものにしたノウハウ、つまりは知的財産をドブに捨てているともいえます。
 一時採用する企業が急増した、デスクワークを集中的に行う「がんばるタイム」や「ノー残業デー」も失敗例が続出しました。従業員にやらされ感を植え付け、自律性を損なう面もあるからです。
 マネジメントばかりではなく、一人ひとりのスキルアップにも紙幅を割いています。たとえば1日のプランニング。まずその日の「大事な仕事」を特定する。次に「業務処理」(自分ひとりでやる仕事)と「情報処理」(他の人と共同でやる仕事)を明確に分ける。最後に仕事に時間をはりつける。そろそろ10時だけど何をしようなどと、時間に仕事をはりつけようとすると、不要な仕事をはりつける懸念があります。この書類づくりは10時から始めようとしないと、時間を効率的に使えません。
 ほかに仕事の期限を明確化することで生まれる効用も説いています。期限を切らなければ、どうしてもずるずると先延ばしすることになります。仕事の内容とともに期限を設定することで、「はじめの一歩」が踏み出しやすくなります。
 本書を最後まで読破すれば、自分の仕事をコントロールできるばかりか、組織の正しい姿も見えてきます。さあ、年末年始に仕事革命の第一歩を。

書名:ワーク・コントロール 仕事に振りまわされないための[スマートマネジメント]著者:行本明説発売日:2015/10/23定価:本体1500円(税別)

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