著者のシュレシンジャーは、バブソン大学学長を5年間務めた。アントレプレナーシップ教育に特化し定評のある大学だ。同学のMBAコースは、USニューズ&ワールドレポートが毎年発表する「大学ランキング」において20年連続ナンバーワン(1994~2013)に輝いている。「フォーブス」や「フィナンシャル・タイムズ」の同様のランキングでも上位を占めている。
なぜ、それだけの高評価を得ているのか。それはこの本の中に示されている、アントレプレナーシップのキー概念が優れているからだ。学生は、徹底してこの概念を叩き込まれる。起業のためには、プレディクション(予測)とクリアクション(創造×行動;造語)を使いこなす必要がある。
新事業を始める際には、事前に分析や予測をしてプランニングし、そのプランに沿って事業を遂行していくのは当たり前の話だが(プレディクションの手法)、場合によっては、即実行に移したほうが、結果がすぐにわかり事業の軌道修正をはかれるという、コストを最小限に抑えられるメリットを得られることもある(クリアクションの手法)。
後者のわかりやすい事例として、こんなことが紹介されている。生卵を肩の高さから水面に落とすと割れるか? 殻の強度を調べ、落下の速度、距離から、算出できることは容易に想像がつく。しかし、このケースでは、実際に試してみたほうが早いだろう。結果は割れない。しかもやってみることで、落下の距離をのばすために投げ上げると、垂直に投げ上げられないことや、意外に殻の強度があることがわかる。
このケースはクリアクションがプレディクションに優先するケースだが、また逆のケースもあるわけだ。クリアクションの手法が必ずしも、すべてに優先するわけではない。ケースバイケースなのだ。それに許容損害、つまりこれくらいなら、損失・損害を被ってもやむを得ないという限度を設定する必要がある。早く結果が得られる反面、こうしたリスク管理が必須になる。こうした様々なケースを検証していくことで、実際のビジネスでの応用が見えてくる。豊富な具体例であなたのビジネスの方向性も見えてくるはずだ。

書名:ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方
著者:レオナード・A・シュレシンジャー チャールズ・F・キーファー ポール・B・ブラウン
訳者:清水由貴子
発売日:2013/8/2
定価:1,785円(税込)