●日本各地・世界各地の川を巡って
本書の“流れ”の一つが、北海道に始まりアフリカに終わる川の紹介。川の表現の一つである「ナイ」と「ベツ」、黄「河」と長「江」の事情、世界の屋根から流れ出す川、黒海に流る「ド」のつく川、先住民の言葉を残すアメリカの川など、「かわ」の表現と分布を見ていく。
●川に対する意識はどう変わっているか
川の紹介が表面的な流れとすれば、川の意識の違いがその本流となる部分。「かわ」と「がわ」の違いを初めて説き示すとともに、水の「上下」と「良悪」、記紀より継がれる「三尺流れれば清し」、欧米における自然河川と運河の意識など、古今東西における意識の変遷を検証する。
●川に関する蘊蓄がいっぱい!
そして本書の伏流をなすのが、豊富な蘊蓄話。日本海文化圏やヨコ井戸文化、万葉人や蕪村の見た川、北極海を目指す河川流域の事情、「武蔵野現象」に見られる自然回復など、様々な話題満載。
●都市史研究の第一人者による渾身の書き下ろし
名著『江戸の川・東京の川』の著者が、さらに日本と世界に視野を広げて「川」について書き記した一冊。事典として各項目を興味深く読めるとともに、表流・本流・伏流が一連となって読者を引きつけて離さない人文書でもある。
書名:川を知る事典
著者:鈴木理生
定価:1680円(税込)