著者がいうには、世の中には2種類の人間がいると。大手を振って大通りを歩くのが好きな人と、細い路地など裏通りが好きな人と。著者はもちろん後者だ。本書は、著者同様に路地裏や横丁が好きな人にはたまらない写真集です。
登場するのは、新宿ゴールデン街、新宿思い出横丁、新宿思い出の抜け道、渋谷のんべい横丁、三軒茶屋三角地帯周辺、吉祥寺ハーモニカ横丁、西荻窪南口駅前と柳小路、自由が丘横丁と駅周辺、武蔵小山駅前路地裏飲食街、神楽坂かくれんぼ横丁とその周辺、大森の山王小路飲食店街(地獄谷)、銀座の路地裏小路、神田今川小路、立石呑んべ横丁。どの路地裏横丁もディープな個性的な世界をもっています。興味をもたれ、これを読んでいる皆さんは、少なくとも(?)一度は足を踏み入れていることでしょう。
上記の昭和のノスタルジーが横溢する路地裏は、計画されてつくられたものではなく、無秩序につくられたものだからこその温かさや面白さを兼ね備えています。その味わい深さを、モノクロ写真約200点で表現するとともに、写真をさらに引き立てる菊池裕さんの短歌が添えられています。「くたびれたこの暗がりの小宇宙たとえばそれが東京だとしても」
書名:東京路地裏横丁
著者:山口昌弘
短歌:菊池 裕
発売日:2015/9/18
定価:本体1800円(税別)